【防災力:3】大森プロストシティレジデンス

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることができる不動産なのか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 大森プロストシティレジデンス

[所在地] 〒143-0016 東京都大田区大森北2丁目13−31

防災力 Level 3
地盤 []地盤増幅率及びボーリング調査は良好
浸水 []高潮約1.6m、河川氾濫0.5m~3m
建物 []免震構造、高層建物
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高2m弱の湾岸の埋立地(江戸時代以前に埋立)に位置します。
東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では、敷地の東側半分が「液状化の可能性が高い地域」に該当します。
対象地は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。


※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]


※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.38~1.44”です。
都区内では低い数値であり、地震時の揺れを小さく抑えられる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。


※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

ボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
南側で隣接する調査地点では、
深度4mほどでN値30超の固い地層となります。
深度8m過ぎにN値20ほどの地層が挟まります。
深度10m過ぎにN値50超の地層となりますが、深度20m過ぎにN値20以下の地層が混在します。
柱状図の表記は深度20mまでしかなく、支持層の深さは把握できません。
地下水位の下に砂質の地層は存在するものの、浅いうちに固い地層となるので、大きな液状化リスクはないと判断します。
近隣にある他の調査地点でも、概ね同様の地層となっており、支持層の深さは10m~17mほどのようです。
浅いうちに固い地層となり、それ以降も総じて固い地層が続くので、大きな問題のない地盤であると判断します。
※本件マンションの建物は地下2階まであり、柔らかい表層部分には基礎杭がないと判断します。

浸水リスク

高潮により最大約1.6mの浸水可能性が指摘されています。
河川の氾濫等により0.5m~3m未満の浸水可能性が指摘されています。
対象地は、標高2m弱の湾岸の埋立地に位置します。
昨今「想定外」の災害が毎年のように起きていることを想起しますと、ハザードマップの想定を超える事態はあり得ます。

【高潮ハザードマップ】

※ [東京都港湾局] → [高潮リスク検索サービス]

【河川が氾濫した場合の浸水想定区域】

※重ねるハザードマップ (出典:「ハザードマップポータルサイト」)

 建物

2005年3月竣工のRC造地下2階地上25階建です。
施工会社は、スーパーゼネコンの「大林組」です。
免震構造を採用したどっしりとした形状の建物ですが、高層マンションです。
高層マンションは、防災面からは良い点がありません。万が一、施工不良があった場合には即大きな建物損壊リスクに繋がりますし、発災後にエレベーターが動かなくなると、高層階の住民は難儀するでしょう。防犯面等のメリットはありますが、本サイトは”防災”の観点からの評価になりますので、高層建物というだけでマイナス評価とします。
免震構造を採用している建物なので、損壊リスクは低いですが、災害リスクは残ると判断します。

【参照】タワーマンションを防災面では評価しない理由(より詳細に)
【参考】東日本大震災から学んだのは「“想定”が少ない方が安全」(免震構造についての私見が含まれます)

 接面道路

東側(幅員約7.2m)、南側(幅員約7.5m)、北側(幅員約6m)の3本の区道に接面している3方路地です。
接道部分では、敷地後退をして歩道等を整備しています。
第一京浜(国道15号線)との接続は良好なので、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「大森北2丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2024年累計」を見ると、大森北2丁目は53件となっており、治安は“5段階で最悪レベル”です。
京急本線と隣接していることから、騒がしく感じる可能性があります。

 本マンションの総評

「液状化の可能性が高い地域」及び「沖積層の堆積エリア」に該当する、湾岸の埋立地に位置します。
表層地盤増幅率及びボーリング調査は良好です。
高潮で約1.6mの浸水可能性が指摘されています。
免震構造ですが、高層建物なので、災害リスクは残ると判断します。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

表層地盤増幅率が良好で、ボーリング調査でも浅いうちに固い地層となることが把握できるので、大きな地盤リスクはないと判断します。高潮で約1.6mの浸水可能性が指摘されているので、浸水リスクを計上します。免震構造ですが、高層建物なので、災害リスクは残ると判断します。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル3”とします。 (5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。