【防災力:4】ルピナス中野レジデンス
「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。
物件名 ルピナス中野レジデンス
[所在地] 〒164-0013 東京都中野区弥生町1丁目43−15
防災力 | Level 4 |
地盤 | [3]埋没谷、表層地盤増幅率が高い |
浸水 | [5]浸水可能性の指摘なし |
建物 | [4]2005年竣工の中層RC造建物 |
火災 | [4]系統連続性は普通 |
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら) |
標高・地形
●標高34m~35mの台地に位置します。
●対象地は、12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。
※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]
表層地盤増幅率
●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.71”です。
●都区内の武蔵野台地エリアでは高い数値であり、地震時の揺れが大きくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。
※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]
【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)
近隣のボーリング調査
●敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
●西方の少し離れた調査地点では、
▼表層はN値3以上ありますが、深度8m過ぎまでN値4ほどの地層が続きます。
▼深度9m過ぎで一旦固い地層となった後、深度約11m~15mに埋没谷の影響とみられる窪みがあります。
▼支持層の深さは、15m過ぎのようです。
●表層面に問題がなく、支持層もさほど深くはないので、マンション用地として問題の少ない場所と推察します。
●当該地点は、対象地から少し離れた場所なので、参考程度に留めます。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。
浸水リスク
浸水可能性は指摘されていません。
※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]
建物
●2005年3月竣工の中層RC造建物(地上7階建)です。
●施工会社は、当時マンション開発・建設で急成長をしていた「スルガコーポレーション」です。
●スルガコーポレーションは、反社会勢力との取引が取り沙汰され、2008年に民事再生法の適用を申請しました。
●本件建物を建設していた時期である2004年度は、会社として成長していた時期だと思いますので(2003年にも経営危機があったという話もあるので真相は不明ですが)、施工に問題はなかったのではないかと推察します。
●また、建物の形状が複雑なようですが、各棟が独立しており、エキスパンションジョイントによって接続されているようにも見えます。
●エキスパンションジョイントで接続されているものと推定して、建物自体の損壊リスクは低いものと判断します。
※実際の建物の状況が把握できた場合には、評価が変わる可能性があります。
接面道路
●北側(幅員約6m~6.2m)、南側(幅員約4m)の2本の区道に接面する2方路地です。
●幹線道路まで直線的にアクセスできる道路はないので、系統連続性は普通と判断します。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。
地域危険度調査
東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「弥生町1丁目」の地域危険度は“3”(※)であり、災害リスクが多少残る地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。
周辺環境他
「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、弥生町1丁目は21件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。
本マンションの総評
●埋没谷の範囲に該当する上に、表層地盤増幅率が高い場所です。
●浸水可能性は指摘されていません。
●中層RC造建物であり、建物損壊リスクは低いと判断します。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。
⇒埋没谷の範囲に該当する上に、表層地盤増幅率が高い場所なので、地盤リスクを無視できません。その他の浸水リスク、建物損壊リスク、火災リスクはいずれも低いので、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)
≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。