「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名　白山パークマンション

[所在地] 〒112-0001 東京都文京区白山２丁目２１−１０

 標高・地形

●標高は18m～24mほど、台地の縁にある傾斜地に位置します。
●傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
●また、南西側隣地との境界に高低差があるため擁壁を設置しており、擁壁も築年が古くなると補修が必要となります。修繕費用(保守管理費用)が必要というコスト面の問題だけでなく、メンテナンスしないと地盤リスクが高くなる土地ということもできます。
●東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では「液状化の可能性がある地域」に該当します。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]

 表層地盤増幅率

●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.33″です。
●都区内で優良レベルであり、地震時の揺れが小さくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供：防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

●敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
●北方にある調査地点では、
▼表層でN値3以上あります。
▼深度8mほどまでN値5以下の地層が続いた後、少し固い地層と比較的柔らかい地層が混在します。
▼深度25mほどでN値16の少し柔らかい地層が挟まります。
▼柱状図の表記が深度25mまでしかなく、支持層の深さは把握できません。
▼砂質の地層はありますが、N値20超の部分がほとんどなので、液状化リスクは大きくないと推察します。
●支持層は深いようですが、非常に柔らかい地層はないので、地震時に揺れが大きくなるようなリスクは低いと考えます。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

浸水可能性の指摘はありません。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

●1988年5月竣工の低層RC造建物(地上4階建)です。
●施工会社は、中堅ゼネコンの「飛島建設」です。
●低層RC造建物なので、損壊リスクは低いです。
●ただ、建物が少し古くなってきているので、修繕等のメンテナンスがきちんと行われているかのチェックは必須です。

 接面道路

●北東側区道(幅員約2.4m～3.2m)に接面する中間画地です。
●白山通りまでの経路では一方通行の道路を通らざるを得ず、対象地近辺の道路は狭いところで幅員約3.2mの箇所もあり、系統連続性は劣ります。
●接道状況及び系統連続性は劣り、緊急車両の通行に支障がある可能性を感じる、火災時の災害リスクがある場所です。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「白山2丁目」の地域危険度は“３”(※)であり、災害リスクが多少残る地域であるとされています。
※地域危険度は、５段階評価で１が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、白山2丁目は9件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。

 本マンションの総評

●台地の縁にある傾斜地で、隣地境界には擁壁も築造されています。
●「液状化の可能性がある地域」に該当しますが、ボーリング調査からそのリスクは大きくないと推察します。
●浸水可能性の指摘はありません。
●低層RC造建物なので、損壊リスクは低いです。
●接道状況及び系統連続性は劣るので、火災時の災害リスクがある場所です。

⇒表層地盤増幅率が優良レベルの台地に位置しますが、数mの高低差がある傾斜地であり、擁壁も設置していることから、地盤(傾斜地)リスクは無視できません。前面道路が狭く、近辺の道路にも幅員が狭い箇所があることから、火災時の災害リスクを認めます。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル４”とします。(５段階評価で５が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。