【防災力:4】グランツオーベル中野

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族のと”財産を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 グランツオーベル中野

[所在地] 東京都中野区中野5丁目26−3

防災力 Level 4
地盤 []表層地盤増幅率が優良レベル、傾斜地
浸水 []大きな浸水リスクなし
建物 []低層RC造建物
火災 []接道状況及び系統連続性は劣る
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約35m~37m、台地から低地に至る傾斜地(地形的には切土地)に位置します。
敷地に多少の高低差はありますが、大規模な擁壁の築造等はなく、大きな傾斜地リスクはないと判断します。
「液状化」「埋没谷」等の地盤ハザードエリアに該当しません。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.34”です。
都区内で優良レベルであり、地震時の揺れが小さくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内及び近隣の同地形(切土地)に公開されたボーリング調査地点はありません。
周辺の調査地点を見ると、
表層はN値1の非常に柔らかい地層が入る地点と、N値5以上ある問題のない地点とが散在します。
深度7m~10mの下は固い地層となりますが、十数mで再度少し柔らかい地層が挟まる地点が複数あります。
支持層までの表記がなく、支持層の深さは把握できません。
表層面は問題がない可能性がありますが、支持層がそれなりに深そうなので、マンション用地として地盤が良いとは言い切れない場所です。
ただ、軟弱地盤ではないので、地震時に揺れを大きくするリスクは低いと考えます。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、対象地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

敷地の周縁部に0.1mほどの浸水可能性が指摘されていますが、標高や地形からみて、敷地全体に大きな影響はないものと考えます。
ただ、南側接面道路は、昔の川筋に掛かっており、予想を超える大雨が降った場合には、想定を超えて浸水する可能性があります。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2020年9月竣工の低層RC造建物(地下1階地上5階建)です。
施工会社は、マンション建設を多く手掛ける「鍛冶田工務店」です。
低層RC造建物なので、損壊リスクは低いです。

 接面道路

西側(幅員約4m)、南側(幅員約3.3m~4m)の2本の区道と接面する2方路地です。
接面区道も狭い箇所があり、周辺にも狭隘道路が広がっているので、接道状況及び系統連続性は劣ります。
大型ポンプ車などの緊急車両が迅速に近付くのが難しいかもしれません。火災時に消火に時間が掛かったり、緊急搬送が遅れたりといったリスクは、低くありません。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「中野5丁目」の地域危険度は“3”(※)であり、災害リスクが多少残る地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、中野5丁目は216件となっており、治安は“5段階で5番目の最悪レベル”です。

 本マンションの総評

敷地に多少の高低差はありますが、大規模な擁壁の築造等はなく、大きな傾斜地リスクはないと判断します。
表層地盤増幅率が優良レベルで、ボーリング調査からも大きな地盤リスクの兆候は見られません。
大きな浸水リスクはありません。
低層RC造建物であり、建物損壊リスクは低いです。
接道状況及び系統連続性に劣り、火災時の災害リスクはそれなりに存在します。
防災面からは外れますが、治安の良いエリアではありません。

敷地に多少の高低差はありますが、大きな傾斜地リスクはないでしょう。表層地盤増幅率が優良レベルで、ボーリング調査も悪くはないので、大きな地盤リスクはないと判断します。ただ、接道状況及び系統連続性に劣り、火災時の災害リスクは顕在なので、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。