【防災力:4】グランウェリス哲学堂公園
「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。
物件名 グランウェリス哲学堂公園
[所在地] 〒164-0002 東京都中野区上高田5丁目15−11
防災力 | Level 4 |
地盤 | [3]傾斜地 |
浸水 | [5]浸水可能性の指摘なし |
建物 | [4]2003年竣工の低層RC造建物 |
火災 | [3]接道状況及び系統連続性がやや劣る |
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら) |
標高・地形
●標高約34m~38m、台地の縁にある傾斜地に位置します。
●傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
●また、建物の北側及び西側接面道路との境界に高低差があるため擁壁を設置しており、擁壁も築年が古くなると補修が必要となります。修繕費用(保守管理費用)が必要というコスト面の問題だけでなく、メンテナンスしないと地盤リスクが高くなる土地ということもできます。
●「液状化」「埋没谷」等の地盤ハザードエリアに該当しません。
※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]
表層地盤増幅率
●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.3~1.34”です。
●都区内で優良レベルであり、地震時の揺れが小さくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。
※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]
【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)
近隣のボーリング調査
●敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
●南東方の隣接地にある調査地点では、
▼深度7mほどまでN値2の柔らかい地層が存在します。
▼それ以降、深度9mほどでN値50超の固い地層となり、その下で再度N値30ほどの地層が挟まるものの、深度13mほどでN値50超となります。
▼深度13mまでの表記しかなく、支持層の深さは把握できません。
●周辺の調査地点を調べても、支持層の深さは把握できませんでした。
●表層面は柔らかいので、地盤が良いとはいえませんが、深度7mより下は比較的固い地層が大部分を占めると推察されるので、大地震の際に揺れが大きくなるようなリスクは感じません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。
浸水リスク
浸水可能性は指摘されていません。
※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]
建物
●2003年1月竣工の低層RC造建物(地上3階建)です。
●施工会社は、マンション建設に実績のある「共立建設」です。
●低層RC造建物なので、建物自体の損壊リスクは低いです。
接面道路
●西側区道と接面する中間画地です。接道部分では、敷地後退をして歩道を整備しています。
●中野区は当該区道の道路幅員を公開していないので、道路幅員の詳細は不明ですが、西側区道を北方に進むと少し狭くなる箇所があるように見えます。
●周辺には狭隘道路も散在する上に、西側区道は一方通行路です。系統連続性はやや劣るとします。
●狭隘道路が周囲にありますが、哲学堂通りから対象地まで幅員4m超を保ってアクセスできるルートがあるようなので、火災時に大きな災害リスクはないと判断します。
地域危険度調査
東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「上高田5丁目」の地域危険度は“2”(※)であり、災害に比較的強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。
周辺環境他
「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、上高田5丁目は13件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。
本マンションの総評
●表層地盤増幅率は優良レベルですが、台地の縁にある傾斜地に位置します。
●ボーリング調査では、大きな地盤リスクの兆候は見出せませんでした。
●浸水可能性は指摘されていません。
●低層RC造建物なので、損壊リスクは低いです。
●周辺に狭隘道路や一方通行路が多いので、多少の火災リスクを計上します。
⇒接面道路との境界及び建物の北側と、2段の擁壁を築造している傾斜地なので、地盤リスクがないとはいえません。また、周辺に狭隘道路や一方通行路が多く、系統連続性がやや劣るので、火災リスクも多少は認めます。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)
≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。