【防災力:4】グランスイート虎ノ門

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 グランスイート虎ノ門

[所在地] 〒105-0001 東京都港区虎ノ門1丁目21−10

防災力 Level 4
地盤 []液状化、ボーリング調査が良くない
浸水 []大きな浸水リスクなし
建物 []縦長形状
火災 []系統連続性は普通
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約5m~6m、武蔵野台地周縁の低地帯に位置します。
東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では「液状化の可能性が高い地域」に該当します。
対象地は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]


※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.54”です。
都区内では比較的低い数値であり、地震時の揺れが小さく抑えられる可能性がある場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内にある公開されたボーリング調査地点では、
深度12mほどまでN値2の柔らかい地層が混在します。
支持層の深さは19mほどのようです。
地下水位の下に砂質の地層が広がっているので、液状化の可能性は高いです。
周辺にある複数の調査地点では、
深度十数mまでN値0~1の非常に柔らかい地層が続きます。
支持層の深さは18m~23mのようです。
地下水位の下に砂質の地層が存在するので、液状化の可能性は否定できません。
深度12mほどまで柔らかい地層が続き、液状化の可能性も高いので、地盤の良い場所ではありません。

浸水リスク

敷地の一部に0.1mほどの浸水可能性が指摘されています。
対象地は、周辺と比較して標高が低いので、ゲリラ豪雨の際など、周囲の水が集まる可能性があります。
浸水可能性の指摘は小さな数値ですが、想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が拡大する可能性のある立地です。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2007年3月竣工のRC造地下1階地上21階建です。
施工会社は、「ゼファー」です。ゼファーは、2008年7月に民事再生法の適用を再生し経営破綻しました。ただ、2007年の決算では好調だったようなので、本件マンションの施工期間に経営不振の影響はなかったと考えます。
階層が少し高く、縦長形状の建物なので、大きな揺れに見舞われた場合、横長のどっしりとした形状の建物と比較すると、多少の損傷リスクを認めます。

 接面道路

南西側(幅員約17.9m)、南東側(幅員約11m)の2本の区道に接面する角地です。
桜田通り(国道1号線)等との接続は良好なので、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「虎ノ門1丁目」の地域危険度は”1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、虎ノ門1丁目は54件となっており、治安は“5段階で最悪レベル”です。

 本マンションの総評

「液状化の可能性が高い地域」及び「沖積層の堆積エリア」に該当する、武蔵野台地周縁の低地帯に位置します。
ボーリング調査も、良い結果ではありません。
浸水可能性の指摘自体は小さいですが、地形的に浸水リスクがないとはいえません。
縦長形状の建物であり、多少の損傷リスクを計上します。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

「液状化の可能性が高い地域」及び沖積層エリアに該当し、ボーリング調査も良い結果ではないので、地盤リスクは無視できません。浸水可能性も感じる立地ですが、ハザードマップでの指摘は小さいので、大きな浸水リスクはないと判断します。建物も縦長形状なので、多少の損傷リスクを計上します。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。