【防災力:2】グランシティレイディアントタワー

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることができる不動産なのか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 グランシティレイディアントタワー

[所在地] 〒120-0046 東京都足立区小台1丁目18

防災力 Level 2
地盤 []液状化、地盤増幅率が最悪レベル、軟弱地盤
浸水 []荒川等氾濫0.5m~3m
建物 []南棟:縦長かつL字の変形のような形状
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約6m~8m、荒川と隅田川に挟まれた堤防の上に位置します。
東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では、「液状化の可能性がある地域」に含まれています。
対象地は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。


※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]


※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”2.35”です。
全国的にも最悪レベルの数値であり、大地震時に震度7となる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。


※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
近隣にある調査地点では、
深度18mほどまでN値2以下の非常に柔らかい地層が続いています。
深度27m~30mほどまでN値10以下の地層が続きます。
支持層の深さは37mほどの地点と更に深い地点があります。
地下水位の下に砂質の地層が存在するので、液状化の可能性は否定できません。
地中の深いところまで非常に柔らかい地層が続き、液状化の可能性もある、いわゆる「軟弱地盤」です。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

荒川等の氾濫により、敷地の一部に0.5m~3m未満の浸水可能性が指摘されています。
対象地は、荒川と隅田川に挟まれた堤防の上に位置します。大きくかさ上げされているものの、浸水リスクから解放されたと判断することはできません。
昨今「想定外」の災害が毎年のように起きていることを想起しますと、ハザードマップの想定を超える事態もあり得ます。

【荒川等が氾濫した場合の浸水想定区域】

※重ねるハザードマップ (出典:「ハザードマップポータルサイト」)

  建物

2004年1月竣工のRC造地上21階建です。
施工会社は、マンション建設を多く手掛ける「奥村組」です。
北側の棟はシンプルな形状なので、建物自体に大きな損壊リスクはないと考えますが、南側の棟は縦長かつ上から見るとL字型の変形のような形状なので、多少の損傷リスクを見込みます。

【参照】耐震等級“1”のマンションは震度7に耐えられない?

 接面道路

北側都道(幅員約41.6m)、西側区道(幅員約6m)の2本の道路に接面する角地です。
幅員の広い都道に接面しているので、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「小台1丁目」の地域危険度は“2”(※)であり、災害に比較的強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2024年累計」を見ると、小台1丁目は18件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。

 本マンションの総評

「液状化の可能性がある地域」及び「沖積層の堆積エリア」に該当する、荒川と隅田川に挟まれた堤防の上に位置します。
表層地盤増幅率は全国的にも最悪レベルの数値です。
ボーリング調査でも、地中の深いところまで非常に柔らかい地層が続き、液状化の可能性もある、いわゆる「軟弱地盤」であることが把握されます。
荒川等氾濫により0.5m~3mの浸水可能性が指摘されています。
南側の棟は、少々縦長かつ複雑な形状なので、多少の損傷リスクを見込みます。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

液状化及び沖積層エリアに該当し、表層地盤増幅率が最悪レベルである上に、ボーリング調査でも「軟弱地盤」といえる結果なので、地盤リスクは非常に大きいです。立地的に浸水リスクがないと判断するのは難しいです。南側の棟は、少々縦長かつ複雑な形状なので、多少の損傷リスクを計上します。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル2”とします。 (5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。