【防災力:2】グラーサ東京イースト

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族のと”財産を守ることのできる不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 グラーサ東京イースト

[所在地] 〒104-0033 東京都中央区新川2丁目15−3

防災力 Level 2
地盤 []液状化、軟弱地盤
浸水 []高潮約1.2m、洪水0.5m~3m未満
建物 []どっしりとした形状
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約2m~3m、隅田川河口付近の埋立地に位置します。
東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では、「液状化の可能性がある地域」に該当します。
対象地は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]


※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.66”です。
標準よりやや高い数値であり、地震時の揺れが大きくなる可能性がある場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

ボーリング調査

敷地内ににある公開されたボーリング調査地点では、
深度14mほどまでN値3以下の柔らかい地層が続きます。
深度23m過ぎまでN値10を切るような柔らかい地層が続きます。
支持層の深さは24m~25mほどのようです。
地下水位の下に砂質の地層が続いているので、液状化の可能性は高いです。
地中の深いところまで柔らかい地層が続き、液状化の可能性が高い、いわゆる「軟弱地盤」です。

浸水リスク

高潮により最大約1.2mの浸水可能性が指摘されています。
雨水出水により最大約1.2mの浸水可能性が指摘されています。
荒川・隅田川等の氾濫により0.5m~3m未満の浸水可能性が指摘されています。
高潮や荒川等の氾濫による浸水も、昨今「想定外」の災害が毎年のように起きていることを想起しますと、ハザードマップの想定を超える事態はあり得ます。

【高潮ハザードマップ】

※ [東京都港湾局] → [高潮リスク検索サービス]

【雨水出水】

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

【荒川等が氾濫した場合の浸水想定区域】

※重ねるハザードマップ (出典:「ハザードマップポータルサイト」)

 建物

2002年10月竣工のSRC造地上14階建です。
施工会社は、マンション建設に実績のある「金山工務店」です。
上から見ると少し複雑な形ですが、どっしりとした形状の建物なので、大きな損壊リスクはないと判断します。

【参照】耐震等級“1”のマンションは震度7に耐えられない?

 接面道路

北西側(幅員約22m)、北東側(幅員約11m)、南西側(幅員約6m)の3本の区道と接面する3方路地です。
周辺の都道との接続は容易なので、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「新川2丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、新川2丁目は22件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。
どこに向かうにも橋を渡る必要がある立地です。大地震や大水害で、橋が損傷するなど、橋の通行に支障が生じる事態となると、避難や救助が遅れる可能性があります。川に挟まれた立地としての災害リスクを考慮すべきと考えます。

 本マンションの総評

隅田川河口付近の埋立地に位置し、「液状化の可能性がある地域」及び「沖積層の堆積エリア」に該当します。
表層地盤増幅率はやや高い数値です。
ボーリング調査では、地中の深いところまで柔らかい地層が存在し、液状化の可能性が高いなど、軟弱地盤であることが把握できます。
高潮で約1.2m、洪水で0.5m~3m等の浸水可能性が指摘されています。
どっしりとした形状なので、建物自体に大きな損壊リスクはないいと判断します。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。
どこに向かうにも橋を渡る必要がある立地です。大災害の際に、橋の通行に支障が生じると、災害リスクが高まります。

液状化及び沖積層エリアに該当し、ボーリング調査でも「軟弱地盤」といえる結果なので、地盤リスクは非常に大きいです。高潮で約1.2m、洪水で0.5m~3m等の浸水可能性が指摘されるなど、浸水リスクも顕在です。更に橋の通行に支障が生じると災害リスクが増加する立地であることを考慮し、防災力を“レベル2”とします。 (5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。