【防災力:5】ジオ新宿若松町

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の””と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 ジオ新宿若松町

[所在地] 〒162-0056 東京都新宿区若松町8−8

防災力 Level 5
地盤 []表層地盤増幅率に問題のない台地
浸水 []大きな浸水リスクなし
建物 []全体的にはシンプルな形状
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高33m~34mほどの台地に位置します。
「液状化」「埋没谷」等の地盤ハザードエリアに該当しません。
市谷仲之町付近は、1923年の関東大震災の際、推定震度が「5弱」と比較的揺れが抑えられた場所だったと推定されています。(参考資料:武村雅之名古屋大学教授「1923年関東地震による東京都中心部(旧15区内)の詳細震度分布と表層地盤構造」)

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.53”です。
都区内では比較的低い数値であり、地震時の揺れが小さく抑えられる可能性がある場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地付近と思われる公開されたボーリング調査地点では、
深度3mでN値7ほどありますが、深度5m過ぎにN値1を割り込みます。
それ以降は徐々に固い地層となり、深度19mほどでN値50超の地層となります。
柱状図の表記が深度21mまでしかなく、支持層の深さは把握できません。
周辺にある地点の柱状図でも、支持層までの表記はありません。
支持層が深い可能性があるので、マンション用地として良い場所とはいえませんが、全体として非常に柔らかい地層は少ないので、地震時に揺れが大きくなるリスクは感じません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、対象地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

最大約1.4mの浸水可能性の指摘があります。内水氾濫としては、かなり深い浸水です。
東京都下水道局が公開している「下水道台帳」を閲覧しても、特にこの場所に下水道管が集中している訳でもなく、水が集まる理由を読み取ることはできませんでした。
標高を見ると、周辺の標高が少し高くなっていて、対象地の辺りが窪地のような地形であることが分かります。
以前、この窪地の辺りは木造住宅が建ち並んでいました。
その昔の地形が、当該浸水深に反映しているのだと思いますが、本件マンションの建設の際に、この窪地状の部分は多少軽減しているものと推察します。
標高や地形からみて、マンション全体に大きな影響を与えることはないと判断します。
※想定を超える大雨が降った場合には、内水氾濫が拡大する可能性があります。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2018年4月に竣工したRC造建物(地上13階建)です。
施工会社は、マンション建設を多く手掛ける「ファーストコーポレーション」です。
少し縦長ですが、全体的にはシンプルな形状の建物なので、損壊リスクは低いと判断します。

 接面道路

北西側区道(幅員約16.3m~18m)に接面する中間画地です。
明治通りや外苑東通りへのアクセスは容易であり、系統連続性は良好です。
前面道路は「東京都市計画道路 放射第25号線」に指定され、整備が進められています。完了しますと、幅員約30mの道路となります。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「若松町」の地域危険度は“2”(※)であり、災害に比較的強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、若松町は20件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。

 本マンションの総評

表層地盤増幅率が比較的良好な台地に位置します。
ボーリング調査で、深刻な問題は見出せませんでした。
最大約1.4mの浸水可能性が指摘されていますが、大きな浸水リスクに繋がらないものと判断します。
全体的にはシンプルな形状の建物であり、損壊リスクは低いと判断します。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

表層地盤増幅率が比較的良好で、ボーリング調査で深刻な問題がみられない台地に位置しますので、大きな地盤リスクはないと判断します。内水氾濫としては非常に深い浸水可能性の指摘があるのですが、現建物を建築した際に地形の傾斜は軽減していると推測し、大きな浸水リスクはないとします。その他の建物損壊リスク、火災リスクも低いので、防災力を“レベル5”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。