【防災力:4】フォレストテラス鳥居坂
「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることができる不動産なのか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。
物件名 フォレストテラス鳥居坂
1.大地震が発生しても安全か
| 対地震 | Level 3/5 (リスク有) |
| 地盤ハザード | [3/5]「土砂災害」に該当 |
| 地盤増幅率 | [3/5]概ね良好 |
| ボーリング | [4/5]比較的浅いうちに固い地層 |
| 建物 | [5/5]2015年竣工の中層RC造建物 |
| 【対地震の評価】 [地盤] ●ボーリング調査に深刻な問題はみられませんが、「崖上マンション」です。高低差10m超の、隣地が「土砂災害特別警戒区域」等に指定されるほどの傾斜地に位置するので、相応の地盤リスクを計上します。 〔建物〕 ●2015年竣工の中層RC造建物なので、損壊リスクは低いです。 〔対地震総評〕 ●敷地内高低差10m超、隣地との高低差も数mある傾斜地に建つ「崖上マンション」です。中層RC造建物ですが、地震の際に被害が生じる可能性がないとはいえません。 |
[所在地] 〒106-0032 東京都港区六本木5丁目12−7
標高・地形
| 標高 | 約14m~25m |
| 地形 | 台地斜面を含む傾斜地 |
●「台地斜面」は、人工的に地盤改変を行っていることが多く、盛土や切土が混在し、地盤の良否を外形的に判断するのが難しい地形です。
●傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。
●コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、傾斜地は、地震時の揺れが複雑になることもあるようなので、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
●また、隣地との境界に高低差(数m)があるため擁壁を設置しており、擁壁も築年が古くなると補修が必要となります。修繕費用(保守管理費用)が必要というコスト面の問題だけでなく、メンテナンスしないと地盤リスクが高くなる土地ということもできます。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]
地盤ハザード(災害危険)エリア
| 液状化 | 該当なし |
| 沖積層 | 該当なし |
| 埋没谷 | 該当なし |
| 急傾斜等 | 土砂災害特別警戒区域等 |
●対象地にはわずかに掛かるだけですが、隣地は「土砂災害特別警戒区域」及び「土砂災害警戒区域」に指定されています。並びの土地は、指定されるほどの急傾斜地であり、崖崩れの危険性が高い場所といえます。

※ [土砂災害警戒区域等マップ(東京都)] → [土砂災害警戒区域]タブ
表層地盤増幅率
| 表層地盤増幅率 | 1.52 |
●比較的低い数値であり、地震時の揺れが小さく抑えられる可能性がある場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]
【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)
近隣のボーリング調査
●敷地内及び近隣の同地形(台地斜面、切土)に公開されたボーリング調査地点はありません。
●東方で近接する調査地点(地形:谷底低地)では、
▼深度10m過ぎまでN値0~3の柔らかい地層が続きます。
▼深度13m~15mほどでN値50超の地層となります。
▼支持層の深さは22m余りのようです。
●北西方にある調査地点(地形:台地)では、深度8m過ぎにN値10を超え、徐々に固い地層となり、深度26m弱で支持層に到達するようです。
●周辺に、深刻な問題がみられる地点はなく、比較的浅いうちに固い地層となるようなので、マンション用地として大きな問題のない場所であると判断します。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。
建物
| 築年 | 2015年9月竣工 |
| 構造 | RC造地下3階地上8階建 |
| 施工会社 | 竹中工務店 |
| その他 | - |
●複雑な形状ですが、2015年竣工の中層RC造建物なので、大きな損壊リスクはないと判断します。
2.1000年に一度の大水害が発生しても安全か
| 対水害 | Level 4/5 (大きな浸水リスクなし) |
| 標高 | 約14m~25m |
| 立地 | 台地斜面を含む傾斜地 |
| 浸水深 | [内水氾濫等]約0.2m |
| 【対水害の評価】 [標高・立地] ●標高約14m~25m、台地斜面を含む傾斜地に位置します。 〔浸水深〕 ●敷地の一部に約0.2mの浸水可能性が指摘されています。 〔対水害総評〕 ●標高や地形からみて、大きな浸水リスクはないと判断します。 ●想定を超える大雨が降った場合には、内水氾濫が拡大する可能性があります。 |

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]
3.その他の災害リスク
| その他 | Level 4/5 (大きな災害リスクなし) |
| 接道状況 | 普通(接面道路幅員最大4.6m) |
| 系統連続性 | 普通 |
| 地域危険度 | 災害に強い地域 |
| その他 | - |
接面道路
●北側及び西側で区道(幅員約3.2m~4.6m)に接面する準角地です。
●周辺にある道路は、緊急車両の通行困難性を感じるほど狭くはないものの、広い道路ではないので、系統連続性は普通とします。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。
地域危険度調査
●東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「六本木5丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。

※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。
周辺環境他
●「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2024年累計」を見ると、六本木5丁目は53件となっており、治安は“5段階で最悪レベル”です。
4.本マンションの総合評価
| 総合 | Level 4/5 |
| [対地震] | Level 3/5 (リスク有) |
| [対水害] | Level 4/5 (大きな浸水リスクなし) |
| [その他] | Level 4/5 (大きな災害リスクなし) |
【地震リスク】
敷地内高低差10m超、隣地との高低差も数mある傾斜地に建つ「崖上マンション」です。中層RC造建物ですが、地震の際に被害が生じる可能性がないとはいえません。
【水害リスク】
標高や地形からみて、大きな浸水リスクはないと考えます。
【その他リスク】
大きなリスクを感じるような要素なし
⇒傾斜地リスクは顕在ですが、地盤自体は悪くないようなので、防災力を“レベル4”とします。
(5段階評価で5が最も安全)
≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。
《評価時点》2025年11月
