【防災力:3】ファミール東京グランリッツ
「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。
物件名 ファミール東京グランリッツ
[所在地] 〒103-0027 東京都中央区日本橋3丁目6−7
防災力 | Level 3 |
地盤 | [3]液状化、ボーリング調査が良くない |
浸水 | [3]洪水0.5m~3m未満 |
建物 | [3]少々複雑な形状 |
火災 | [5]接道状況及び系統連続性は良好 |
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら) |
標高・地形
●標高約3m~4m、江戸時代以前は「前島」と呼ばれていた場所に位置します。地形的には「砂州」です。
●「砂州」は、「海岸付近にあって波浪、沿岸流によってできた砂礫からなる微高地」です。
●東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では、「液状化の可能性がある地域」に含まれています。
●対象地は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。
※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]
※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]
表層地盤増幅率
●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.51”です。
●都区内では比較的低い数値であり、地震時の揺れが小さく抑えられる可能性がある場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。
※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]
【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)
近隣のボーリング調査
●敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
●近隣にある複数の調査地点では、
▼深度10m過ぎまでN値2以下の柔らかい地層が続く地点が半分、もう半分はN値4以上あるようです。
▼深度20m過ぎまでN値10未満のやや柔らかい地層が存在する地点が多いです。
▼支持層の深さは、20m~24mほどのようです。
▼地下水位の下に砂質の地層があるので、液状化の可能性は否定できません。
●深度20mほどまで柔らかい地層が続く可能性があり、液状化の可能性もあるので、地盤の良い場所とはいえません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。
浸水リスク
●荒川・隅田川等の氾濫により0.5m~3m未満の浸水可能性が指摘されています。
●対象地の標高は、隅田川や日本橋川の河岸とほとんど差がありません。
●昨今「想定外」の災害が毎年のように起きていることを想起しますと、ハザードマップの想定を超える事態はあり得ます。
【荒川・隅田川等が氾濫した場合の浸水想定区域】
※重ねるハザードマップ (出典:「ハザードマップポータルサイト」)
建物
●2004年8月竣工のSRC造地上13階建です。
●施工会社は、マンション建設に実績のある「川田工業」です。
●上から見ると、少々複雑な形状をしているので、シンプルな形の建物と比較すると、多少の損傷リスクを認めます。
接面道路
●北東側(幅員約8m)、南東側(幅員約11m)の2本の区道に接面する2方路地です。
●接面道路は一方通行路ですが、周辺にある幹線道路との接続は容易なので、系統連続性は良好です。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。
地域危険度調査
東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「日本橋3丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。
周辺環境他
●「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、日本橋3丁目は13件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。
●東京駅周辺の繁華街に位置しますので、夜に騒がしく感じる可能性があります。
本マンションの総評
●江戸時代以前から陸地である前島に位置し、液状化及び沖積層エリアに該当します。
●表層地盤増幅率は比較的良好な数値です。
●ボーリング調査では、地盤の良い場所とはいえないことが把握されます。
●洪水で0.5m~3m未満の浸水可能性が指摘されています。
●少し複雑な形をした建物なので、多少の損傷リスクを認めます。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。
⇒ボーリング調査があまり良い結果ではなかったので、地盤リスクを無視できません。洪水で0.5m~3mの浸水可能性が指摘されているので、浸水リスクも顕在です。また、建物が複雑な形状であることから、多少の損傷リスクを計上します。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル3”とします。 (5段階評価で5が最も安全)
≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。