【防災力:4】ファミールスクエア中野坂上

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 ファミールスクエア中野坂上


[所在地] 〒164-0011 東京都中野区中央1丁目34−1

防災力 Level 4
地盤 []傾斜地、周辺のボーリング調査も良くない
浸水 []少し大きな内水氾濫の浸水深(約0.6m)
建物 []2001年竣工の低層RC造建物
火災 []系統連続性はやや劣る
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約31m~34m、台地の端にある傾斜地に位置します。
傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。コンクリートでガチガチに押さえているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
また、隣地との境界に高低差があるため擁壁を設置しており、擁壁も築年が古くなると補修が必要となります。修繕費用(保守管理費用)が必要というコスト面の問題だけでなく、メンテナンスしないと地盤リスクが高くなる土地ということもできます。
敷地南部の一部が、12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますが、掛かっている部分も浅いので、埋没谷の影響は限定的であると判断します。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか?

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.34″です。
都区内で優良レベルであり、地震の際の揺れが小さくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
周辺の同地形(台地)にある複数の調査地点では、
深度9mほどでN値2~3の柔らかい地層が続きます。
いずれの柱状図も20mまでしか表記がなく、支持層の深さは把握できませんでした。
表層面に柔らかい地層があり、支持層もそれなりに深い可能性があるので、良い地盤とはいえません。
これらの結果からは、表層地盤増幅率が優良レベルである根拠は見出せませんでした。
深い部分の地層を確認できないので、埋没谷の影響も把握できません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

敷地の一部に約0.6mの浸水可能性が指摘されています。
内水氾濫の指摘としては深い数字です。標高を細かく見ると、敷地の北側が凹地のようになっていることが分かります。
そのため、想定を超える大雨が降った場合には、敷地の北部に水が集まり、内水氾濫の被害が拡大する可能性があります。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]


※ [国土地理院地図] → [標高・土地の凹凸] → [自分で作る色別標高図]

 建物

2001年2月竣工の低層RC造建物(地下1階地上5階建)です。
施工会社は、スーパーゼネコンの「大成建設」です。
低層RC造建物なので、損壊リスクは低いです。

 接面道路

北側(幅員約4.1m~5.8m)、西側及び南側(幅員約1.9m~4.2m)の2本の区道と3方で接面する3方路地です。
北側接面区道は、一方通行路である上に、東西どちらの方向に向かっても幅員が狭くなります。
緊急車両の通行に支障があるほどの狭隘な箇所もないように見えますが、幅員の広い道路に接面している土地と比較すると、火災時の災害リスクを多少見積もる必要があるのではないかと思料します。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「中央1丁目」の地域危険度は“2”(※)であり、災害に比較的強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、中央1丁目は71件となっており、治安は“5段階で最悪レベル”です。

 本マンションの総評

台地の端にある傾斜地に位置します。
周辺のボーリング調査もあまり良い結果ではありません。
内水氾濫としては少し大きな浸水可能性が指摘されています。
低層RC造建物なので、建物損壊リスクは低いです。
系統連続性はやや劣り、火災時の災害リスクを多少認めます。

周辺のボーリング調査結果があまり良くない傾斜地に位置しているので、多少の地盤リスクは計上すべきと考えます。内水氾濫のリスクも少し大きいですし、系統連続性もやや劣る状況です。ただ、それぞれは単独で防災レベルを下げるほどの大きなリスクではないこと等を総合的に勘案し、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。