【防災力:4】ファミール成増グランデージ

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 ファミール成増グランデージ

[所在地] 〒179-0071 東京都練馬区旭町3丁目32−22

防災力 Level 4
地盤 []傾斜地
浸水 []大きな浸水リスクなし
建物 []1階レベルが階段状
火災 []系統連続性は普通
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約20m~26m、台地から谷底低地にまたがる台地斜面に位置する傾斜地です。
「台地斜面」は、人工的に地盤改変を行っていることが多く、盛土や切土が混在し、地盤の良否を外形的に判断するのが難しい地形です。
傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
また、北側及び西側接面道路との境界に高低差があるため擁壁を設置していますが、擁壁の上は駐車場となっていることが多く、擁壁リスクが建物部分(建築面積に相当)に与える影響はさほど大きくないと考えます。
東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では「液状化の可能性がある地域」に敷地の一部が含まれています。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]


※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.24~1.26″です。
都区内で優良レベルであり、地震時の揺れが小さくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
西側接面道路付近にある調査地点では、
深度4mほどにN値1の非常に柔らかい地層があります。
支持層の深さは13mほどのようです。
地下水位の下に柔らかい砂質の地層はないようなので、液状化リスクの兆候は見出せません。
周辺の調査地点でも、支持層の深さは10m~11mほどのようです。
表層面は柔らかい可能性がありますが、支持層が比較的浅いので、マンション用地として、問題の少ない地盤といえます。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

敷地の周縁部に約0.2mの浸水可能性が指摘されています。
指摘箇所は、敷地の中では標高が高い場所です。これに関しては、地形や標高から見て、敷地全体に大きな影響はないものと判断します。
※想定を超える大雨が降った場合には、内水氾濫の被害が拡大する可能性があります。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

1995年8月竣工のRC造地下1階地上10階建です。
施工会社は、マンション建設を多く手掛ける「前田建設工業」です。
南側の棟は、敷地の高低差に合わせて1階レベルが階段状になっていますので、平坦地にある建物と比較したら、損傷リスクを多少認めます。
また、建物が少し古くなってきているので、修繕等のメンテナンスがきちんと行われているかのチェックは必須です。

 接面道路

西側(幅員約8.5m~9.3m)、北側(幅員約8m)、東側(幅員約6m)の3本の区道に接面する3方路地です。東側接道部分では、敷地後退をして歩道を整備しています。
川越街道(国道254号)との接続は容易なので、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「旭町3丁目」の地域危険度は“2”(※)であり、災害に比較的強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、旭町3丁目は12件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。

 本マンションの総評

敷地の一部が「液状化の可能性がある地域」に該当する傾斜地です。
ボーリング調査の結果は比較的良好です。
大きな浸水リスクはないでしょう。
1階レベルが階段状となっているので、建物損傷リスクを多少認めます。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

「液状化の可能性がある地域」に敷地の一部が該当しますが、ボーリング調査ではその兆候が見られないので、液状化リスクは低いと判断します。ただ、数mの高低差がある土地なので、傾斜地リスクは顕在です。建物も、敷地の高低差に合わせて1階レベルが階段状となっているので、損傷リスクを多少認めます。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。