【防災力:4】ファミール新宿グランスィートタワー

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 ファミール新宿グランスィートタワー


[所在地] 〒151-0053 東京都渋谷区代々木2丁目21−8

防災力 Level 4
地盤 []ボーリング調査はあまり良くない
浸水 []大きな浸水リスクなし
建物 []縦長で少々複雑な形状の建物
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約36m~37mの台地から続く切土地に位置します。
「液状化」「埋没谷」等の地盤ハザードエリアに該当しません。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.46”です。
都区内では低い数値であり、地震時の揺れが小さく抑えられる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
北西方の調査地点では、
表層はN値3以上あるようです。
N値5以下の地層が深度12m近くまで続きます。
支持層の深さは、24mほどのようです。
深度12mほどまで、マンション用地としては柔らかい地層が続き、支持層もそれなりに深いので、良い地盤とは言えません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、対象地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

敷地の一部に0.2mほどの浸水可能性が指摘されています。
対象地の前面道路から谷地まで浸水域が続いているのが気になります。前面道路は、浅い谷のような地形となっている可能性があります。
ただ、周囲との標高差や地形をみるに、全体に大きな影響を与えることはないものと判断します。
※想定を超える大雨が降った場合には、内水氾濫が拡大する可能性があります。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2002年2月に竣工したRC造建物(地下1階地上20階建)です。
施工会社は、マンション建設に実績のある「不動建設(現:ナカノフドー建設)」です。
形状は、20階建のタワー状の部分の南側に、控壁(ひかえかべ)のようにセットバックされた10階建の部分があるという、少し複雑な形をしています。
タワー部分と控壁状の10階建部分との間にエキスパンションジョイントがあるように見えず、この接続部分は大地震の際に損傷するリスクを感じます(※)。
※エキスパンションジョイント等の設置があっても、タワー状の建物と10階建の板状の建物では、地震時の揺れ方が異なる可能性がありますので、その接続部分は損傷する可能性があります。

 接面道路

北東側区道(幅員約7.1m)、北西側私道(幅員約4m~6m)の2本の道路に接面する角地です。
北西方にある国道20号線へのアクセスは容易なので、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「代々木2丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、代々木2丁目は62件となっており、治安は“5段階で最悪レベル”です。
新宿の繁華街が近く、前面道路は、人通りがそれなりにあるので、少し騒がしく感じる可能性があります。

 本マンションの総評

表層地盤増幅率が良好な台地から続く切土地に位置します。
ボーリング調査は、あまり良い結果ではありません。
大きな浸水リスクはないでしょう。
少し形状が複雑なタワー型建物であり、建物損傷リスクはそれなりにあると判断します。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

ボーリング調査から、タワー型のマンション用地としては、あまり良い地盤の場所ではないことが推察されるので、地盤リスクを多少計上します。少し形状が複雑なタワー型建物なので、損傷するリスクはそれなりにあると判断します。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。