【防災力:4】シスナブ池袋本町
「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。
物件名 シスナブ池袋本町
[所在地] 〒170-0011 東京都豊島区池袋本町4丁目47−12
防災力 | Level 4 |
地盤 | [3]ボーリング調査がいま一つ |
浸水 | [3]敷地の一部が川筋に掛かっている |
建物 | [4]全体的にはシンプルかつどっしりとした形状 |
火災 | [4]系統連続性は普通 |
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら) |
標高・地形
●標高約26m、台地と低地に挟まれた切土地に位置します。
●敷地の一部が昔の谷端川流域に掛かっています。
●東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では「液状化の可能性がある地域」に含まれています。
※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]
※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]
表層地盤増幅率
●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.34~1.52”です。
●都区内では低い数値であり、地震時の揺れが小さく抑えられる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。
※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]
【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)
近隣のボーリング調査
●敷地内にある公開されたボーリング調査地点の柱状図では、
▼深度7mほどまでは、N値0や1の非常に柔らかい表層面となっています。
▼深度8m超で、一旦N値50超の固い層となりますが、その固さを維持できず、凸凹を繰り返し、深度24m~26mほどではN値10未満の柔らかい層が出現するという「埋没谷エリア」のような地盤となっています。
▼支持層に到達するのは深度30mを超えるようです。
●周辺にある複数の調査地点でも、支持層の深さは23m~30mであるようです。また、一度固い層となってから、再度柔らかい層が入るという「埋没谷エリア」のような地盤も見られます。
●これらの結果からは、マンション用地として、あまり良い地盤ではないといえます。
●ただ、地下水位は約4.7mで、深度10mより下に砂質の地層が広がっていますが、この砂質の部分はN値30超の固い地層のようなので、液状化の可能性は低いのではないかと推察します。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。
【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか?(本物件は該当しませんが参考まで)
浸水リスク
●敷地の北西部に最大1.5mほどの浸水可能性が指摘されていますが、当該箇所は建物がない場所です。
●建物部分(建築面積に相当する部分)には、最大0.3mほどの浸水可能性の指摘があります。
●建物部分と、北西部の昔の川筋では標高差が2mほどあるため、大きな浸水リスクはないものと判断します。
●ただし、敷地の北西部は、昔の川筋(谷端川流域)に当たることから、想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が拡大する可能性があります。
※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]
建物
●1997年3月竣工のSRC造地下1階地上19階建です。
●施工会社は、準大手ゼネコンの「フジタ」です。
●全体的にはシンプルかつどっしりとした形状の建物であることから、損壊リスクは低いと判断します。
●ただ、建物が少し古くなってきているので、修繕等のメンテナンスがきちんと行われているかのチェックは必須です。
接面道路
●北西側(幅員約6.4m~7.1m)、南西側(幅員約4.8m~6.2m)の2本の区道と接面する角地です。接道部分では、敷地後退をして歩道を整備しています。
●北方の国道17号線まで広い幅員を保ったまま直線的にアクセスできる道路はないため、系統連続性は普通とします。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。
地域危険度調査
東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「池袋本町4丁目」の地域危険度は“3”(※) であり、災害リスクが多少残る地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。
周辺環境他
●「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、池袋本町4丁目は19件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。
●JR線及び東武東上線の線路が隣接しており、騒がしく感じる可能性があります。
本マンションの総評
●表層地盤増幅率は良好ですが、敷地の一部が「液状化の可能性がある地域」に掛かっています。
●ボーリング調査では、地盤はあまり良くないですが、液状化の可能性は低いようにみえます。
●建物部分に大きな浸水リスクはないと思いますが、敷地の一部が昔の川筋に掛かっているので、多少のリスクは見ておくべきです。
●全体的にはシンプルかつどっしりとした形状の建物なので、損壊リスクは低いでしょう。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。
⇒表層地盤増幅率は良好ですが、ボーリング調査はあまりいい結果ではありません。液状化の可能性は低いと思われますが、埋没谷エリアのような地層が地中に存在します。よって、多少の地盤リスクを認めます。敷地の一部が川筋に掛かるため、浸水リスクも多少計上します。これらを合わせてマイナス1とし、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)
≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。