【防災力:3】グランシティ上用賀
「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。
物件名 グランシティ上用賀
[所在地] 〒158-0098 東京都世田谷区上用賀4丁目37−12
防災力 | Level 3 |
地盤 | [3]埋没谷エリアの切土地 |
浸水 | [3]谷沢川河岸と標高差がほとんどない |
建物 | [3]シンプルとはいえない形状 |
火災 | [5]接道状況及び系統連続性は良好 |
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら) |
標高・地形
●標高約40m~41mの、地形図で「切土地」となっている場所にあります。
●対象地は、12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。
※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]
表層地盤増幅率
●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.63”です。
●都区内の武蔵野台地エリアでは標準的な数値であり、地震時の揺れが大きくなる可能性は低い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。
※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]
【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)
近隣のボーリング調査
●敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
●すぐ東方にある調査地点では、
▼表層でN値3以上あります。
▼深度26mを過ぎてもN値5以下の地層が続いています。
▼柱状図の表記が26mまでしかなく、支持層の深さは把握できません。
●埋没谷の影響もあると思われますが、深度26m過ぎまでN値5以下の地層が続いているので、地盤の良い場所ではありません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。
浸水リスク
●敷地の一部に0.4m超の浸水可能性の指摘があり、内水氾濫のリスクにしては少し大きな数字です。
●標高や下水道台帳を確認する限り、そこまで大きな浸水リスクがあるようには見えず、浸水深の根拠が把握できません。
●ただ、北方に谷沢川があり、対象地と河岸との標高差がほとんどないので、想定を超える大雨が降り、谷沢川の水が溢れる事態となると、浸水被害が拡大する可能性があります。
※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]
建物
●2004年1月竣工のRC造建物(地下1階地上11階建)です。
●施工会社は、マンション建設を多く手掛ける「大豊建設」です。
●建物の形状は、L字形のようになっている上に、セットバックも大きく行われています。
●シンプルな形状の建物と比較すると多少の損傷リスクを認めます。
接面道路
●北側都道(幅員約15m)、西側区道(幅員約11m)の2本の道路と接面している角地です。
●都道に面していますので、系統連続性は良好です。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。
地域危険度調査
東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「上用賀4丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。
周辺環境他
「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、上用賀4丁目は5件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。
本マンションの総評
●埋没谷の範囲に該当し、近隣のボーリング調査結果にもその影響が見て取れるので、地盤リスクは小さくないと判断します。
●「谷沢川」の川沿いの土地と標高差がほとんどないため、想定を超える浸水被害はあり得ます。
●建物形状が少々複雑なため、多少の損壊リスクを認めます。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します
⇒埋没谷の範囲に該当し、その存在が近隣のボーリング調査結果からも窺えるため、地盤リスクは小さくないと判断し、マイナス1とします。更に、浸水リスク及び建物損壊リスクも、それぞれ大きな問題とはならないと思いますが、リスクは残るので合わせてマイナス1とし、防災力を“レベル3”とします。(5段階評価で5が最も安全)
≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。