【防災力:4】アルス桜上水
「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。
物件名 アルス桜上水
[所在地] 〒156-0045 東京都世田谷区桜上水4丁目23−16
防災力 | Level 4 |
地盤 | [4]ボーリング調査は比較的良好 |
浸水 | [3]暗渠となっている川筋 |
建物 | [4]全体的にどっしりとした形状 |
火災 | [4]系統連続性は普通 |
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら) |
標高・地形
●標高36~40m、谷底低地にある傾斜地です。
●傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
●ただ、大規模な擁壁等の築造は視認できず、大きな傾斜地リスクはないと推察します。
●「液状化」「埋没谷」等の地盤ハザードエリアに該当しません。
※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]
表層地盤増幅率
●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.69“です。
●都区内の武蔵野台地エリアではやや高い数値であり、地震の際の揺れが大きくなる可能性がある場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。
※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]
【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)
近隣のボーリング調査
●敷地内にある公開されたボーリング調査地点では、
▼深度6m過ぎまではN値1~2の非常に柔らかい地層が続きます。
▼支持層の深さは12m余りです。
●近隣にある調査地点でも、概ね同様の地盤です。
●支持層が比較的浅いようなので、マンション用地として問題の少ない場所だと判断します。
浸水リスク
●最大0.5mほどの浸水可能性が指摘されています。
●対象地は、暗渠となっている北沢川流域にあるので、想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が拡大する可能性があります。
●地形が「谷底低地」ということは、昔は川が流れていた場所であることを意味します。
※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]
建物
●2006年2月竣工のRC造地下1階地上10階建です。
●施工会社は、準大手ゼネコンの「戸田建設」です。
●上階が階段状になっていますが、全体的にどっしりとした形状の建物なので、大きな損壊リスクはないと判断します。
接面道路
●南東側区道(幅員約8m~9m)に接面する中間画地です。北側及び南側に歩行者用通路が整備されており、3方路のような接道状況です。
●都道428号線が近接していますが、当該都道は幅員6mを切る箇所もある道路なので、系統連続性は普通と判断します。
●接道状況及び系統連続性に問題はないので、火災時の災害リスクは低いと判断します。
地域危険度調査
東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「桜上水4丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。
周辺環境他
●「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、桜上水4丁目は12件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。
●南東側に日本大学のグランドが隣接しており、学生の声などが騒がしく感じる可能性があります。
本マンションの総評
●表層地盤増幅率が少し大きめの谷底低地にある傾斜地ですが、ボーリング調査は比較的良好です。
●昔の川筋であり、大きな浸水リスクには繋がらないとは思いますが、リスク自体は顕在です。
●全体的にどっしりとした形状の建物なので、損壊リスクは低いと判断します。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。
⇒表層地盤増幅率が少し高めの谷底低地にある傾斜地ですが、ボーリング調査は比較的良好なので、大きな地盤リスクはないと判断します。暗渠となっている北沢川流域で、約0.5mの浸水可能性が指摘されているので、浸水リスクは顕在です。よって、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)
≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。