【防災力:3】パークハウス砧レジデンス

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることができる不動産なのか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 パークハウス砧レジデンス

 

1.大地震が発生しても安全か

地震に強いとはいえない

対地震 Level  3/5 (リスク有)
地盤ハザード [3/5]「埋没谷」に該当
地盤増幅率 [0/5]かなり高い
ボーリング [1/5]悪い(埋没谷の影響)
建物 [5/5]2010年竣工の低層RC造建物
【対地震の評価】
地盤
「埋没谷」の範囲に該当し、ボーリング調査でも、埋没谷の影響とみられる柔らかい地層が地中深くに厚く存在していることが把握できるので、相応の地盤リスクがあると判断します。
建物
2010年竣工の低層RC造建物なので、損壊リスクは低いです。
〔対地震総評〕
埋没谷の影響がみられる地盤なので、地震時に揺れが大きくなる可能性があります。低層RC造建物ですが、地震時に被害が発生する可能性は否定できません。

[所在地] 〒157-0073 東京都世田谷区砧3丁目27−12

標高・地形

標高 約38m~41m
地形 切土地(一部、台地)

敷地の北側が傾斜地に当たりますが、大規模な擁壁の築造等は視認できないので、大きな傾斜地リスクはないと判断します。


※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

地盤ハザード(災害危険)エリア

液状化 該当なし
沖積層 該当なし
埋没谷 範囲に該当
急傾斜等 該当なし

12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当します。こちらも、大地震の際の揺れが大きくなる可能性を示す兆候です。

【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか?

表層地盤増幅率

表層地盤増幅率 1.34、1.8

対象地は、J-SHIS Mapの2つのメッシュにまたがっています。
南側の表層地盤増幅率は”1.8”、北側のそれは”1.34”となっています。
”1.8”は、かなり高い数値であり、地震時の揺れが大きくなる可能性が高い場所です。
”1.34”は、優良レベルであり、地震時の揺れが小さくなる可能性が高い場所です。
敷地の過半は地盤増幅率”1.34”のメッシュに含まれているのですが、このメッシュの周りは地盤増幅率が高い地域(“1.77”~“1.83”)に囲まれており、このメッシュ内にある公開されたボーリング調査地点の柱状図をみても、地盤増幅率が”1.34”である理由が判然としません。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。


※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
北方で隣接する調査地点では、
深度7m余りでN値50超の地層となるようです。
柱状図の表記が深度14mまでしかなく、埋没谷の存在は不明です。
近隣にある調査地点では、深度10m~14mほどから埋没谷の影響がみえ、N値2が17m~21mで連続するなど、N値10以下の地層が深度25m~29mほどまで続きます。
埋没谷の影響とみられる厚く柔らかい地層が地中深くに存在していることが把握できるので、地盤の良い場所ではありません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

建物

築年 2010年2月竣工
構造 RC造地下1階地上3階建
施工会社 大豊建設
その他

低層RC造建物なので、損壊リスクは低いです。

2.1000年に一度の大水害が発生しても安全か

対水害 Level  3/5 (浸水リスク有)
標高 約38m~41m
立地 切土地(一部、台地)
浸水深 [内水氾濫等]約0.8m
【対水害の評価】
標高・立地
標高38m~41mの傾斜地(地形的には大部分は切土地、一部台地)に位置します。
浸水深
敷地の一部に約0.8mの浸水可能性の指摘があります。内水氾濫にしては大きな数字です。
〔対水害総評〕
標高や下水道台帳を確認する限り、そこまで大きな浸水リスクがあるようには見えませんが、用途地域の高さ制限内に4階建相当の建物を収めるために、敷地を掘削した影響だと思われます。
また、浸水リスクとしては想定されていませんが、北東方を流れる谷戸川沿いで浸水深2mを指摘されている場所と対象地の標高差は約2mです。予想を超える大雨で谷戸川が溢水した場合には、想定外の浸水被害があり得るものと考えておくべきでしょう。
谷戸川河岸と標高差がさほどない場所に位置し、約0.8mの浸水可能性が指摘されているので、浸水リスクを無視できません。


※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

3.その他の災害リスク

その他 Level  3/5 (災害リスク有)
接道状況 普通(接面道路幅員約6m)
系統連続性 やや劣る
地域危険度 災害に比較的強い地域
その他

接面道路

北東側(幅員約4.1m~6m)、南側(幅員約6m)の2本の区道と接面している2方路地です。
接道部分は、敷地後退をして歩道を整備しています。
周辺には幅員4m未満の細街路が多いので、系統連続性は「やや劣る」と判断します。
救急車両の通行に支障をきたすほどのリスクは感じないので、火災時の災害リスクは低いと判断しますが、系統連続性が良好な場所と比較したら、多少のリスクは残ります。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「砧3丁目」の地域危険度は“2”(※)であり、災害に比較的強い地域であるとされています。


※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2024年累計」を見ると、砧3丁目は22件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。

4.本マンションの総合評価

総合 Level  3/5
[対地震] Level  3/5 (リスク有)
[対水害] Level  3/5 (浸水リスク有)
[その他] Level  3/5 (災害リスク有)

地震リスク
埋没谷の影響がみられる地盤なので、地震時に揺れが大きくなる可能性があります。低層RC造建物ですが、地震時に被害が発生する可能性は否定できません。
水害リスク
谷戸川河岸と標高差がさほどない場所に位置し、約0.8mの浸水可能性が指摘されているので、浸水リスクを無視できません。
その他リスク
周辺に細街路が多いことによる、火災リスクも多少認めます。

⇒これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル3”とします。
(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。

評価時点》2025年10月