「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名　パークホームズ蘆花公園エアリーコート

[所在地] 〒157-0063 東京都世田谷区粕谷１丁目１６−１４

 標高・地形

●標高約43m～45m、昔の川筋にある谷底低地に位置します。
●東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では「液状化の可能性がある地域」に敷地が含まれています
●また、対象地は、12万年前～16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。
※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]

【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか？

 表層地盤増幅率

●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.31″です。
●都区内で優良レベルであり、地震時の揺れが小さくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8″以上だと、地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6″以下です。

※ [J-SHIS Map(提供：防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

●敷地内に、公開されたボーリング調査地点はありません。
●東側隣地にある調査地点では、
▼深度6mほどまでN値0を含むN値3以下の柔らかい地層が続きます。
▼深度9mほどでN値50超となりますが、深度14m～20mほどに埋没谷の影響とみられるN値2～5の柔らかい地層が入ります。
▼支持層の深さは21m余りのようです。
▼地下水位の下に柔らかい砂質の地層はみられず、液状化の可能性は大きくないと考えます
●西方の同地形(谷底低地)にある調査地点でも、同様の地盤で、深度14mほどで埋没谷の影響とみられるN値11の地層となります。
●深度20mほどまで柔らかい地層が存在するので、地盤の良い場所ではありません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、対象地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

●最大0.9mほどの浸水可能性が指摘されています。
●敷地は、現在は暗渠となっている水無川の川筋に当たるようなので、想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が拡大する可能性があります。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

●2010年9月竣工の中層RC造建物(地上7階建)です。
●施工会社は、準大手ゼネコンの「熊谷組」です。
●中層RC造建物なので、損壊リスクは低いでしょう。

 接面道路

●南側(幅員約11m)、北側(幅員約8m)、西側(幅員約4m)の3本の区道に接面する3方路地です。
●東方の環八通り(都道)との接続は容易であり、系統連続性は良好と判断します。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「粕谷1丁目」の地域危険度は”１”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で１が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、粕谷1丁目は9件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。

 本マンションの総評

●谷底低地ですが、表層地盤増幅率は優良レベルです。
●ボーリング調査では、埋没谷の影響がみられることもあり、良い地盤とはいえません。
●昔の川筋で、最大0.9mほどの浸水可能性が指摘されています。
●中層RC造建物なので、損壊リスクは低いでしょう。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

⇒ボーリング調査で、埋没谷の影響とみられる柔らかい地層が把握されるので、地盤リスクを無視できません。現在は暗渠となっている水無川の川筋に掛かり、最大0.9mほどの浸水可能性が指摘されていることから、浸水リスクも顕在です。よって、防災力を“レベル３”とします。(５段階評価で５が最も安全)

※対象地付近に深い層まで公開されているボーリング調査地点がなく、「埋没谷」の影響を推察することができなかったための暫定評価とします。

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。