【防災力:3】ライオンズマンション渋谷シティ

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 ライオンズマンション渋谷シティ

[所在地] 〒150-0011 東京都渋谷区東1丁目28−6

防災力 Level 3
地盤 []表層地盤増幅率及びボーリング調査が良好
浸水 []川沿いで、最大約6mの浸水可能性
建物 []少し縦長及び複雑な形状の棟
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約12m~14m、渋谷川沿いの谷底低地に位置します。
対象地は、12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか?

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.33”です。
都区内で優良レベルであり、地震時の揺れが小さくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
北側の渋谷川付近にある調査地点では、深度3m過ぎにはN値10を超えます。
周辺にある、渋谷川流域の谷底低地に存する複数の調査地点を見ると、深度7m~12mほどで支持層に到達する場所が多いです。
表層面の地盤に問題がなく、支持層も比較的浅いようなので、マンション用地として悪い場所ではありません。
また、周辺の調査から、埋没谷の範囲に該当することの影響は見られませんでした。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

渋谷川沿いの立地で、最大約6mの浸水可能性が指摘されています。
都区内の武蔵野台地エリアとしては、最悪レベルの浸水リスクがある場所です。
敷地は、渋谷川の「河川が氾濫した場合の浸水区域」に含まれますので、想定を超える大雨が降った際には、浸水被害が拡大する可能性があります。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

1998年1月に竣工したSRC造建物(地上14階建)です。
施工会社は、準大手ゼネコンの「熊谷組」です。
2棟の建物がエキスパンションジョイントで接合されたような形状をしています。南東側の棟は少し縦長で、北西側の棟は少し複雑な形状をしていますが、リスクを感じるほどではありません。
ただ、建物が少し古くなってきているので、修繕等のメンテナンスがきちんと行われているかのチェックは必須です。

 接面道路

南東側区道(幅員約12m)に接面する中間画地です。
明治通り(都道)との接続は容易なので、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「東1丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、東1丁目は18件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。

 本マンションの総評

埋没谷の範囲に該当しますが、表層地盤増幅率は優良レベルです。
周辺のボーリング調査結果から、大きな地盤リスクの兆候は見られませんでした。
渋谷川沿いの立地で、都区内の武蔵野台地エリアで最悪レベルの浸水リスクを抱えています。
建物に大きな損壊リスクはないでしょう。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

表層地盤増幅率が優良レベルで、周辺のボーリング調査にも問題がないので、地盤リスクは小さいと判断します。ただ、氾濫浸水区域内の立地で最大約6mの浸水可能性が指摘されるなど、浸水リスクは都区内の武蔵野台地エリアで最悪レベルです。浸水リスクが大きいので、防災力を“レベル3”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。