【防災力:4】フューズ・コート175
「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることができる不動産なのか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。
物件名 フューズ・コート175
1.大地震が発生しても安全か
| 対地震 | Level 3/5 (リスク有) |
| 地盤ハザード | [5/5]該当なし |
| 地盤増幅率 | [3/5]標準的 |
| ボーリング | [5/5]支持層が浅い |
| 建物 | [3/5]複雑な形状 |
| 【対地震の評価】 [地盤] ●ボーリング調査で支持層が浅いことが把握できるのですが、擁壁により地盤を支える傾斜地なので、平坦地と比較したら相応の地盤リスクはあるでしょう。 〔建物〕 ●2005年竣工の中層RC造建物ですが、複雑な形状をしているので、多少の損傷リスクを認めます。 〔対地震総評〕 ●擁壁により地盤を支える傾斜地に位置し、少し複雑な形状の建物なので、地震時に被害が生じる可能性がないとはいえません。 |
[所在地] 〒154-0001 東京都世田谷区池尻4丁目28−21
標高・地形
| 標高 | 約24m~30m |
| 地形 | 傾斜地(地形的には切土地) |
●傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
●また、隣地との境界に高低差があるため擁壁を設置しており、擁壁も築年が古くなると補修が必要となります。修繕費用(保守管理費用)が必要というコスト面の問題だけでなく、メンテナンスしないと地盤リスクが高くなる土地ということもできます。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]
地盤ハザード(災害危険)エリア
| 液状化 | 該当なし |
| 沖積層 | 該当なし |
| 埋没谷 | 該当なし |
| 急傾斜等 | 該当なし |
表層地盤増幅率
| 表層地盤増幅率 | 1.24~1.57 |
●標準的な数値であり、地震時の揺れが大きくなる可能性は低い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと、地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]
ボーリング調査
●敷地内にある公開されたボーリング調査地点では、
▼深度3~4mでN値20超の地層となります。
▼深度9mほどでN値50の地層となり、支持層の深さは12mほどのようです。
●表層から固い地層となり、支持層も比較的浅いので、地盤のいい場所です。
建物
| 築年 | 2005年1月竣工 |
| 構造 | RC造地下1階地上9階建 |
| 施工会社 | 東急建設 |
| その他 | - |
●建物の1階レベルは、前面道路から見ると敷地の傾斜に従って階段状になっています。また、上から見ると、アルファベットの「Q」のような複雑な形状をしています。建物の形状は、シンプルな方が地震時の損壊リスクは低いとされています。
●中層RC造建物なので、大地震の際でも“倒壊”リスクは低いと思いますが、損傷リスクは低くない(※)のではと推察します。
※平坦地に建つシンプルな形状の建物と比較したら、という相対評価です。
2.1000年に一度の大水害が発生しても安全か
| 対水害 | Level 4/5 (大きな浸水リスクなし) |
| 標高 | 約24m~30m |
| 地形 | 傾斜地(地形的には切土地) |
| 浸水深 | [内水氾濫等]約1m |
| 【対水害の評価】 [標高・地形] ●標高約24m~30mの傾斜地(地形的には切土地)に位置します。 ●敷地の南東側は、暗渠となった北沢川の川筋に当たります。 〔浸水深〕 ●最大約1mの浸水可能性が指摘されています。 〔対水害総評〕 ●約1mの指摘は大きいですが、地形図等を見る限り、擁壁の下部分(隣地)の浸水可能性を指すと思われます。よって、大きな浸水リスクはないと判断します。 ●想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が発生する可能性があります。 |

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]
3.その他の災害リスク
| その他 | Level 4/5 (大きな災害リスクなし) |
| 接道状況 | 普通(接面道路幅員約6m) |
| 系統連続性 | 普通 |
| 地域危険度 | 災害に比較的強い地域 |
| その他 | - |
接面道路
●東側区道(幅員約6m)と接面する中間画地です。
●北方の淡島通りへのアクセスに支障となるような箇所はなく、系統連続性は普通と判断します。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。
地域危険度調査
東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「池尻4丁目」の地域危険度は”2”(※)であり、災害に比較的強い地域であるとされています。

※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。
周辺環境他
「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2024年累計」を見ると、池尻4丁目は24件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。
4.本マンションの総合評価
| 総合 | Level 4/5 |
| [対地震] | Level 3/5 (リスク有) |
| [対水害] | Level 4/5 (大きな浸水リスクなし) |
| [その他] | Level 4/5 (大きな災害リスクなし) |
【地震リスク】
擁壁により地盤を支える傾斜地に位置し、少し複雑な形状の建物なので、地震時に被害が生じる可能性がないとはいえません。
【水害リスク】
浸水可能性の指摘は擁壁の下部分(隣地)を指すと思われますので、大きな浸水リスクはないと判断します。
【その他リスク】
大きなリスクを感じるような要素なし
⇒これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル4”とします。
(5段階評価で5が最も安全)
≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。
《評価時点》2025年9月
