【防災力:4】小石川ザ・レジデンス
「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。
物件名 小石川ザ・レジデンス
[所在地] 〒112-0002 東京都文京区小石川3丁目24
防災力 | Level 4 |
地盤 | [3]液状化、沖積層 |
浸水 | [3]川筋と標高差がほとんどない |
建物 | [5]中層RC造建物 |
火災 | [4]系統連続性は普通 |
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら) |
標高・地形
●標高は7m~10mほどの、谷底低地に近い「切土地」です。
●敷地の低い場所は、昭和初期に埋められた小石川の跡に道路として整備された千川通り(標高7mほど)とあまり高低差がありません。
●ウエストスクエアの一部が、東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では「液状化の可能性がある地域」に含まれています。
●対象地の一部は最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。
※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]
※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]
表層地盤増幅率
●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.27~1.41”です。
●都区内で優良レベルであり、地震時の揺れが小さくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。
※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]
【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)
近隣のボーリング調査
●敷地内にある公開されたボーリング調査地点では、
▼深度4mほどでN値5を超えます。
▼深度8mほどまでN値10以下の地層が続いた後、N値30超の固い地層となります。
▼深度15mほどにN値5の柔らかい地層が挟まります。
▼柱状図の表記が深度20mまでしかなく、支持層の深さは把握できません。
▼地下水位の下に砂質の地層が厚く堆積しているので、液状化の可能性があります。
●東方の調査地点では、支持層の深さは13mほどのようです。
●表層面も含めて地盤の固さには問題がなさそうですが、液状化の可能性は否定できません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、対象地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。
浸水リスク
●敷地の一部に0.7mほどの浸水可能性が指摘されています。
●対象地は、昔の川筋とあまり標高差がないため、想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が拡大する可能性があります。
※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]
建物
●2006年2月竣工の中層RC造建物(地上8階建)です。
●施工会社は、中堅ゼネコンの「日本国土開発」です。
●中層RC造建物なので、損壊リスクは低いでしょう。
接面道路
●北東側区道(幅員6m超)と接面している中間画地です。
●前面道路は、一方通行である上に、そこから広い道路に最もアクセスしやすいのが、幅員約5.4mの道路のようなので、系統連続性は普通と判断します。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。
地域危険度調査
東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「小石川3丁目」の地域危険度は“3”(※)であり、災害リスクがそれなりにある地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。
周辺環境他
「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、小石川3丁目は15件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。
本マンションの総評
●谷底低地に近い「切土地」に位置しますが、表層地盤は優良レベルです。
●敷地の一部が「液状化の可能性がある地域」に該当し、ボーリング調査でも液状化の可能性が認められる結果でした。
●浸水リスクについては、昔の川筋と標高差があまりないので多少のリスクを感じます。
●中層RC造建物なので、損壊リスクは低いでしょう。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。
⇒敷地の一部が「液状化の可能性がある地域」に該当し、ボーリング調査でも液状化の可能性が認められる結果でしたので、地盤リスクを多少認めます。昔の川筋と標高差があまりないことから、浸水リスクもあります。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)
≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。