【防災力:2】ブランズタワー豊洲
「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることができる不動産なのか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。
物件名 ブランズタワー豊洲
1.大地震が発生しても安全か
| 対地震 | Level 3/5 (リスク有) |
| 地盤ハザード | [2/5]「液状化」「沖積層」に該当 |
| 地盤増幅率 | [0/5]非常に高い |
| ボーリング | [2/5]液状化リスクが顕在 |
| 建物 | [3/5]免震構造、タワー形状の高層建物 |
| 【対地震の評価】 [地盤] ●「液状化」及び「沖積層」エリアに該当し、表層地盤増幅率が非常に高く、ボーリング調査でも、液状化リスクが高い地盤であることが推察されるので、相応の地盤リスクがあると判断します。 〔建物〕 ●免震構造ですが、タワー形状の高層建物なので、災害リスクは残ると判断します。 〔対地震総評〕 ●地盤リスクがあると推察される場所に建つタワー形状の高層建物なので、免震構造であっても、大地震の際には損害が発生する可能性があります。 |
[所在地] 〒135-0061 東京都江東区豊洲5丁目1−13
標高・地形
| 標高 | 約4m~5m |
| 地形 | 湾岸の埋立地(昭和初期に埋立) |

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]
地盤ハザード(災害危険)エリア
| 液状化 | 液状化の可能性が高い地域 |
| 沖積層 | 堆積エリアに該当 |
| 埋没谷 | 該当なし |
| 急傾斜等 | 該当なし |
●東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では、「液状化の可能性が高い地域」に含まれています。
●最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。
表層地盤増幅率
| 表層地盤増幅率 | 1.9~2.07 |
●非常に高い数値であり、大地震時に震度7となる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]
【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)
ボーリング調査
●敷地内にあるボーリング調査地点では、
▼深度10m過ぎまではN値2ほどの柔らかい地層が続いています。
▼深度13mほどでN値10、16m過ぎにN値20、18m過ぎにN値30を超えるようです。
▼柱状図に支持層までの表記がなく、その深さは把握できません。
▼地下水位の下に、砂質の地層が広がっているので、液状化の可能性は高いです。
●近隣の調査地点での支持層の深さは、26m~46mほどのようです。
●深度10m過ぎまで柔らかい地層が続き、液状化の可能性も高いので、地盤の良い場所とはいえませんが、地震時に揺れが増幅するリスクは大きくないと考えます。
建物
| 築年 | 2021年10月竣工 |
| 構造 | RC造地下1階地上48階建 |
| 施工会社 | 竹中工務店 |
| その他 | 免震構造 |
●免震構造ですが、縦長のタワー型高層マンションです。
●タワー形状の高層マンションは、防災面からは良い点がありません。万が一、施工不良があった場合には即大きな建物損壊リスクに繋がりますし、発災後にエレベーターが動かなくなると、高層階の住民は難儀するでしょう。防犯面等のメリットはありますが、本サイトは”防災”の観点からの評価になりますので、高層建物というだけでマイナス評価とします。
●免震構造を採用している建物なので、損壊リスクは低いですが、災害リスクは残ると判断します。
【参照】タワーマンションを防災面では評価しない理由(より詳細に)
【参考】東日本大震災から学んだのは「“想定”が少ない方が安全」(免震構造についての私見が含まれます)
2.1000年に一度の大水害が発生しても安全か
| 対水害 | Level 4/5 (大きな浸水リスクなし) |
| 標高 | 約4m~5m |
| 立地 | 湾岸の埋立地 |
| 浸水深 | [内水氾濫・洪水]0.5m未満 |
| 【対水害の評価】 [標高・立地] ●標高約4m~5m、湾岸の埋立地に位置します。 〔浸水深〕 ●高潮による浸水可能性は指摘されていません。 ●内水氾濫・洪水により、敷地の周縁部に0.5m未満の浸水可能性が指摘されています。 〔対水害総評〕 ●湾岸の埋立地に位置しますが、浸水可能性の指摘がないといっていいレベルなので、大きな浸水リスクはないと判断します。 ●想定を超える高潮や大雨が発生した場合には、浸水被害が拡大する可能性のある立地です。 |
【高潮ハザードマップ】

※ [東京都港湾局] → [高潮リスク検索サービス]
【内水氾濫・洪水が発生した場合の浸水想定区域】

※重ねるハザードマップ (出典:「ハザードマップポータルサイト」)
3.その他の災害リスク
| その他 | Level 3/5 (災害リスク有) |
| 接道状況 | 良好(接面道路幅員約40m) |
| 系統連続性 | 良好 |
| 地域危険度 | 安全 |
| その他 | 橋が破損すると、避難や救護に支障が出る立地 |
接面道路
●北西側都道(幅員約40m)、北東側区道(幅員約18m)の2本の道路に接面する2方路地です。
●都道に接面しているので、系統連続性は良好です。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。
地域危険度調査
●東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「豊洲5丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。

※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。
周辺環境他
●「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2024年累計」を見ると、豊洲5丁目は41件となっており、治安は“5段階で4番目の治安が悪いレベル”です。
●運河に囲まれた立地です。大地震や大水害で、運河にかかる橋が損傷するなど、橋の通行に支障が生じる事態となると、避難や救助が困難となる可能性があります。
4.本マンションの総合評価
| 総合 | Level 2/5 |
| [対地震] | Level 3/5 (リスク有) |
| [対水害] | Level 4/5 (大きな浸水リスクなし) |
| [その他] | Level 3/5 (災害リスク有) |
【地震リスク】
地盤リスクがあると推察される場所に建つタワー形状の高層建物なので、免震構造であっても、大地震の際には損害が発生する可能性があります。
【水害リスク】
湾岸の埋立地に位置しますが、浸水可能性の指摘がないといっていいレベルなので、大きな浸水リスクはないと判断します。
【その他リスク】
橋の通行に支障が生じると災害リスクが増加する立地です。
⇒これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル2”とします。
(5段階評価で5が最も安全)
≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。
《評価時点》2025年11月

