【防災力:4】ライオンズ外苑の杜
「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。
物件名 ライオンズ外苑の杜
防災力 | Level 4 |
地盤 | [3]多少の液状化リスク |
浸水 | [3]谷地で、約0.7mの浸水可能性 |
建物 | [5]2013年竣工の中層RC造建物 |
火災 | [5]接道状況及び系統連続性は良好 |
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら) |
標高・地形
●標高は約20m~23mの谷底低地に位置します。台地に囲まれた谷地です。
●対象地は、12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。
※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]
表層地盤増幅率
●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.49”です。
●都区内では低い数値であり、地震時の揺れが小さく抑えられる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。
※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]
【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)
近隣のボーリング調査
●敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
●周辺にある複数の調査地点では、
▼表層は、N値1~2の柔らかい地層である可能性が高いです。
▼支持層の深さは、18m~23mほどのようです。
●表層面に柔らかい地層があるので、地盤が良いとはいえませんが、支持層までの地層もそれなりに固いN値を保っているので、地震時に揺れが大きくなるようなリスクは感じません。
●ただ、砂質の地層が地中の多くを占めます。地下水位は5.7m~6.9mと、非常に浅いという訳ではないですが、その下にも砂質の地層が存在するので、液状化の懸念は残ります。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。
浸水リスク
●最大0.7m程度の浸水可能性が指摘されています。
●敷地付近は、周囲を台地に囲まれた谷底低地であり、周囲の水が集まりやすい場所です。
●想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が拡大する可能性がある立地です。
※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]
建物
●2013年3月竣工の中層RC造建物(地下1階地上7階建)です。
●施工会社は、マンション建設に実績のある「鉄建建設」です。
●中層RC造建物なので、損壊リスクは低いでしょう。
接面道路
●南東側区道(幅員約8.2m)に接面する中間画地です。
●南東方にある都道へのアクセスも容易であることから、系統連続性は良好と判断します。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。
地域危険度調査
東京都の「地震に関する地域危険度測定調査(第9回:令和4年9月公表)」によると、「南元町」の地域危険度は”2”(※)であり、災害に比較的強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。
周辺環境他
●「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、南元町は7件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。
●「首都高速4号新宿線」及び「JR中央線・総武線等」が隣接しており、騒がしく感じることがあるかもしれません。
●また、首都高速沿いであることから、気管支や肺に病気を持つお子さんがいるファミリーにはお勧めできません。
【参照】幹線道路沿いの物件を勧めない理由
本マンションの総評
●谷底低地ですが、表層地盤増幅率は良好です。
●周辺のボーリング調査では、地盤に固さに問題はなさそうなのですが、液状化の可能性を少々感じます。
●標高や地形からは、水が集まる可能性のある谷地に位置し、最大約0.7mの浸水可能性が指摘されています。
●中層RC造建物なので、損壊リスクは低いでしょう。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。
⇒周辺のボーリング調査では、埋没谷の影響は見られませんが、液状化の懸念を払拭できません。多少の地盤リスクはあるものとします。谷地に位置し、最大約0.7mの浸水可能性が指摘されているので、浸水リスクは顕在です。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)
≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。