【防災力:3】シティインデックス三田伊皿子坂
「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。
物件名 シティインデックス三田伊皿子坂
[所在地] 〒108-0073 東京都港区三田4丁目19−25
防災力 | Level 3 |
地盤 | [2]崖上マンション、土砂災害、ボーリング調査が良くない |
浸水 | [5]浸水可能性の指摘なし |
建物 | [3]1階レベルに段差のある建物 |
火災 | [4]系統連続性は普通 |
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら) |
標高・地形
●標高約14m~21m、台地の端にある傾斜地に位置します。駐車場の場所は、標高約11m~12mです。
●対象地の南側及び北東側法面(斜面)部分は「土砂災害特別警戒区域」及び「土砂災害警戒区域」に指定されていることから、崖崩れの危険性が高い場所といえます。
●傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
●また、隣地との境界に数mの高低差があるため擁壁が設置されており、擁壁も築年が古くなると補修が必要となります。修繕費用(保守管理費用)が必要というコスト面の問題だけでなく、メンテナンスしないと地盤リスクが高くなる土地ということもできます。
●いわゆる「崖上マンション」です。
●対象地は、12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。
※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]
※ [土砂災害警戒区域等マップ(東京都)] → [土砂災害警戒区域]タブ
表層地盤増幅率
●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.43”です。
●都区内では低い数値であり、地震時の揺れが小さく抑えられる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。
※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]
【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)
近隣のボーリング調査
●敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
●南西側隣地にある調査地点では、
▼深度16m過ぎまでN値5以下の柔らかい地層が存在します。
▼深度26m過ぎまでN値10前後のマンション用地としては柔らかい地層が続きます。
▼深い部分の柔らかい地層は、「埋没谷」の影響である可能性があります。
▼支持層の深さは、27m超のようです。
▼地下水位の下に砂質の地層が存在するので、液状化の懸念も拭えません。
●深い部分まで柔らかい地層が続き、支持層も深く、液状化の懸念もあるので、地盤の良い場所ではありません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。
浸水リスク
浸水可能性は指摘されていません。
※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]
建物
●2008年12月竣工の中層RC造建物(地上7階建)です。
●施工会社は、高松コンストラクショングループの子会社で、マンション建設に実績のある「青木あすなろ建設」です。
●建物は、高低差のある土地に合わせて、1階のレベル(高さ)が西側と東側で異なっているように見えます。
●平坦地にある建物と比較すると、多少の損傷リスクを認めます。
接面道路
●南側区道(幅員約5.7m~6.1m)、北西側私道の2本の道路に接面する2方路地です。
●南側接面区道は一方通行路なので、系統連続性は普通とします。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。
地域危険度調査
東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「三田4丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域とされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。
周辺環境他
「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、三田4丁目は7件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。
本マンションの総評
●建物部分は、台地の端にある、高低差数mの傾斜地に位置し、擁壁も設置しています。
●隣地とも数mの高低差があり、その法面は「土砂災害特別警戒区域」等に指定されています。
●表層地盤増幅率は良好ですが、埋没谷の範囲に該当します。
●ボーリング調査は良くありません。
●浸水可能性は指摘されていません。
●1階レベルに段差のある建物なので、多少の損傷リスクを認めます。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。
⇒高さ数mの擁壁の上に建つ「崖上マンション」です。隣地境界にある法面は「土砂災害特別警戒区域」等に指定されていて、立地としても、埋没谷の範囲に該当し、ボーリング調査も良くないので、地盤リスクは大きいです。1階レベルに段差がある建物なので、多少の損傷リスクを認めます。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル3”とします。(5段階評価で5が最も安全)
≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。