【防災力:3】HARUMI FLAG

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 HARUMI FLAG (晴海フラッグ)

[所在地] 〒104-0053 東京都中央区晴海5丁目

防災力 Level 3
地盤 []液状化、沖積層、ボーリング調査も良くはない
浸水 []高潮リスク、隅田川の氾濫リスク
建物 []板状棟は全体的にシンプルな形状、タワー棟はマイナス1
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高2m~4m、湾岸の埋立地(大規模盛土地)に位置します。
東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では、敷地のほとんどが「液状化の可能性がある地域」に、一部は「液状化の可能性が高い地域」に含まれています。
対象地は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]


※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.54~1.8”です。
湾岸の埋立地エリアとしてはマシな数値といえ、紫色のエリア(地盤増幅率1.8)以外では、地震時の揺れが大きくなる可能性は低いです。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

このエリアにある公開されたボーリング調査地点では、
浅い部分ではN値0の層があるなど、柔らかい地層が多くを占めます。
深度10m前後でN値50ほどになる地点が多いです。
支持層の深さは、20m~30mほどのようです。
地下水位の下に、少し柔らかい砂質の地層が存在する地点があるので、液状化の可能性は否定できません。
液状化の懸念があるので、地盤の良い場所とはいえませんが、地震時に大きく揺れるような地盤ではないように思えます。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

高潮により最大約1.3mの浸水可能性が指摘されています。
雨水出水により最大約0.9mの浸水可能性が指摘されています。
隅田川の氾濫では、0.5m~1.0m未満の浸水可能性が指摘されています。
高潮の浸水も、隅田川の氾濫による浸水も、昨今「想定外」の災害が毎年のように起きていることを想起しますと、ハザードマップの想定を超える事態はあり得ます。

【高潮ハザードマップ】

※ [東京都港湾局] → [高潮リスク検索サービス]

【雨水出水】

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

【中央区洪水ハザードマップ】

※ [中央区洪水ハザードマップ 隅田川・神田川・日本橋川版]

 建物

[板状棟]2019年竣工、地下1階地上14階建~18階建 21棟
[タワー棟]2025年竣工、地下1階地上50階建 2棟
施工会社は、三井住友建設、長谷工コーポレーション、東急建設、前田建設工業です。
板状棟は、シンプルでどっしりとした形状の建物が多いので、損壊リスクは低いと判断します。
タワー棟は、防災面からは良い点がありません。万が一、施工不良があった場合には即大きな建物損壊リスクに繋がりますし、発災後にエレベーターが動かなくなると、高層階の住民は難儀するでしょう。防犯面等のメリットはありますが、本サイトは”防災”の観点からの評価になりますので、タワーというだけでマイナス1の対象となります。

 接面道路

敷地の周辺は、十分な幅員の道路が整備されています。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「晴海5丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、晴海5丁目は4件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。

 本マンションの総評

湾岸の埋立地に位置し、「液状化の可能性がある地域」及び「沖積層の堆積エリア」に該当します。
表層地盤増幅率は一部を除けば、さほど悪くなく、ボーリング調査も良いとはいえないまでも、深刻なリスクはないと思える場所です。
高潮により約1.3m、隅田川の氾濫により1m未満の浸水可能性が指摘されています。
板状棟は、全体的にシンプルな形状なので、建物自体の損壊リスクは低いと判断します。タワー棟は、マイナス1です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

湾岸の埋立地に位置し、「液状化の可能性がある地域」及び沖積層エリアに該当し、表層地盤増幅率及びボーリング調査も良いとはいえない結果なので、地盤リスクは無視できません。高潮リスク及び隅田川氾濫リスクが認められるので、浸水リスクも顕在です。これらを総合的に勘案し、板状棟の防災力を“レベル3”とします。タワー棟の防災力は“レベル2”です。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。