【防災力:3】フォルスコート目黒大橋
「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。
物件名 フォルスコート目黒大橋
[所在地] 〒153-0044 東京都目黒区大橋2丁目2−3
防災力 | Level 3 |
地盤 | [3]埋没谷、ボーリング調査も良くない |
浸水 | [3]空川の川筋で、約1.2mの浸水可能性 |
建物 | [4]全体的にはどっしりとした形状 |
火災 | [4]緊急車両の接近は問題なし |
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら) |
標高・地形
●標高約19m~24mの谷底低地に位置します。
●高低差約5mの傾斜地ですが、低いレベルに合わせて建物を建てており、大規模な擁壁等の築造は視認できず、この高低差が大きなリスクに繋がる可能性は低いと判断します。
●対象地は、12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。
※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]
表層地盤増幅率
●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.25”です。
●都区内で優良レベルであり、地震時の揺れが小さくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”未満です。
※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]
【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)
近隣のボーリング調査
●敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
●周辺にある複数の調査地点では、
▼表層面は問題のない固さがあるようです。(深度約7m~10mにN値2程度の柔らかい地層が入る地点もあります)
▼浅い地点で深度約15m、深い地点で深度約26mまでN値10未満の地層が存在するなど、埋没谷の影響が疑われます。
▼支持層の深さは約16m~27mと幅があります。
▼地下水位の下に、砂質の地層が存在するので、液状化の可能性も否定できません。
▼周辺の調査地点から、表層地盤増幅率が優良レベルであることの根拠は見出せませんでした。
●深い部分まで柔らかい地層が存在し、液状化の可能性も否定できないので、あまり良い地盤ではありません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、対象地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。
浸水リスク
●最大約1.2mの浸水可能性が指摘されています。
●対象地は、暗渠となっている空川(目黒川支流)の川筋に位置します。
●想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が拡大する可能性がある立地です。
※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]
建物
●2000年2月竣工のSRC造地上13階建です。
●施工会社は、準大手ゼネコンの「東急建設」です。
●建物は、少し複雑な形をしていますが、全体的にはどっしりとした形状なので、損壊リスクは低いでしょう。
接面道路
●東側都道(幅員30m超)、西側区道(幅員約4m~4.3m)、南側区道(幅員約4.3m~4.4m)の3本の道路に接面している3方路地です。西側接道部分は、敷地後退をして歩道を整備しています。
●駐車場のメインの出入口は、西側区道側にあり、西側区道から山手通りにアクセスするには幅員4m未満の箇所を通らざるを得ませんので、系統連続性はやや劣るとします。
●ただ、東側で山手通り(都道)と接面しているので、緊急車両等の接近には問題がなく、災害リスクも低いと判断します。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。
地域危険度調査
東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「大橋2丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。
周辺環境他
●「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、大橋2丁目は22件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。
●山手通り沿いであることから、気管支や肺に病気を持つお子さんがいるファミリーにはお勧めできません。
【参照】幹線道路沿いの物件を勧めない理由
本マンションの総評
●埋没谷の範囲に該当し、周辺のボーリング調査も良い結果ではありません。
●暗渠となっている空川の川筋に位置し、約1.2mの浸水可能性が指摘されています。
●全体的にはどっしりとした形状なので、建物損壊リスクは低いでしょう。
●都道に接面しており、火災時の災害リスクは低いと判断します。
⇒埋没谷の範囲に該当し、周辺のボーリング調査も良い結果ではないので、地盤リスクを認めます。暗渠である空川の川筋に位置し、約1.2mの浸水可能性が指摘されているなど、浸水リスクも顕在です。これらを総合的に勘案して、防災力を“レベル3”とします。(5段階評価で5が最も安全)
≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。