【防災力:2】グレイスコート目黒
「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。
物件名 グレイスコート目黒
[所在地] 〒153-0064 東京都目黒区下目黒2丁目6−10
防災力 | Level 2 |
地盤 | [3]液状化、沖積層、表層地盤増幅率もかなり高い |
浸水 | [1]氾濫浸水区域内で、最大3.3mほどの浸水可能性 |
建物 | [3]少し複雑な形状 |
火災 | [4]系統連続性は普通 |
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら) |
標高・地形
●標高5mほどの、目黒川流域の谷底低地に位置します。北東側に一区画を挟んで目黒川が流れています。
●東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では「液状化の可能性がある地域」に敷地が含まれています。
●対象地は最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。
※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]
※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]
表層地盤増幅率
●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は“1.8”です。
●都区内の武蔵野台地エリアではかなり高い数値であり、大地震時に震度7となる可能性がある場所です。
※地盤増幅率が1.8以上だと、地盤が弱い(揺れやすい)とされます。
※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]
【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)
近隣のボーリング調査
●敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
●周辺にある調査地点では、
▼深度4m~6mほどまでN値0~1の非常に柔らかい地層が続きます。
▼支持層の深さは、6mほどのようです。
●表層面が沖積層エリアならではの非常に柔らかい地層なので、表層地盤増幅率が高くなっていると推察しますが、支持層が浅いので、マンション適地といえる場所です。
●地下水位は約2.1m~3.8mと浅いのですが、地層に占める砂質の層の割合は少なく、液状化リスクは大きくないのではないかと推察します。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、対象地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。
浸水リスク
●最大3.3mほどの浸水可能性が指摘されています。3m超の浸水リスクは都区内の武蔵野台地エリアで最悪レベルです。
●対象地は、赤い線で表示される「目黒川が氾濫した場合の浸水区域」内に位置しており、想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が拡大する可能性があります。
※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]
建物
●2008年に竣工したSRC造地上10階建です。施工会社は、中堅ゼネコンの「淺沼組」です。
●建物の形状が少し複雑です。シンプルな形状の建物と比較すると多少損傷リスクが増すでしょう。
接面道路
●南西側(幅員約6.2m)、南東側(幅員約4m)の2本の区道と接面する角地です。
●東西方向の道路のほとんどが幅員5m未満なので、系統連続性は普通と判断します。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。
地域危険度調査
東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「下目黒2丁目」の地域危険度は“2”(※)であり、災害に比較的強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。
周辺環境他
「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、下目黒2丁目は25件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。
本マンションの総評
●「液状化の可能性がある地域」及び沖積層の堆積エリアに該当し、表層地盤増幅率もかなり高い谷底低地に位置します。
●ボーリング調査の結果は、大きな液状化リスクの兆候が見出せず、支持層も浅いことが把握できるので、良好といえます。
●氾濫浸水区域内で3m超の浸水可能性という、都区内の武蔵野台地エリアで最悪レベルの浸水リスクを抱えています。
●少し複雑な形状の建物なので、損傷リスクを多少認めます。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。
⇒周辺のボーリング調査結果は良好ですが、地形(谷底低地)、液状化予測、沖積層堆積エリア、表層地盤増幅率のいずれも地盤リスクのある場所であることを示しており、地盤リスクをないとすることはできません。浸水リスクは都区内の武蔵野台地エリアで最悪レベルです。建物の損傷リスクも多少認め、これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル2”とします。(5段階評価で5が最も安全)
≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。