【防災力:3】池上パークハウス
「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。
物件名 池上パークハウス
[所在地] 〒144-0051 東京都大田区西蒲田1丁目10−22
防災力 | Level 3 |
地盤 | [3]液状化、沖積層、表層地盤増幅率が高い |
浸水 | [3]呑川河岸、多摩川氾濫リスク |
建物 | [5]2005年竣工の中層RC造建物 |
火災 | [4]系統連続性は普通 |
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら) |
標高・地形
●標高約3m~4m、呑川河岸の、地形的には多摩川河口周辺に広がる低地に位置します。
●東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では「液状化の可能性が高い地域」に敷地が含まれています。
●対象地は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。
※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]
※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]
表層地盤増幅率
●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.76~2″です。
●都区内で、東部低地や埋立地エリアを除けばかなり高い数値であり、大地震時に震度7となる可能性がある場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。
※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]
【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)
近隣のボーリング調査
●敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
●北東方にある最も近い調査地点では、深度5~8mほどにN値1~2の柔らかい地層があり、深度20m過ぎまでN値10前後の地層が続いた後、深度22mほどで支持層に到達するようです。
●その他の周辺にある複数の調査地点では、支持層に十数mで到達する地点もあれば、22mほどの地点もあります。
●浅い部分に柔らかい地層があり、支持層も浅くはないことが推察されるので、地盤の良い場所ではありませんが、軟弱地盤というほどではありません。
●また、地下水位が浅く、その下に砂質の地層が多く見られるので、液状化リスクは顕在です。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。
浸水リスク
●呑川沿い(氾濫浸水区域内)の立地で、最大約0.9mの浸水可能性が指摘されています。
●また、大田区が公開している多摩川ハザードマップ(最大浸水深)では、「0.5m~3.0m未満」のリスクがある場所とされています。
●呑川の氾濫による浸水も、多摩川の氾濫による浸水も、昨今「想定外」の災害が毎年のように起きていることを想起しますと、ハザードマップの想定を超える事態はあり得ます。
※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]
建物
●2005年2月竣工の中層RC造建物(地上8階建)です。
●施工会社は、準大手ゼネコンの「戸田建設」です。
●中層RC造建物なので、損傷リスクは低いでしょう。
接面道路
●北西側(幅員約4.1m)、北東側(幅員約4m)の2本の区道に接面している角地です。接道部分では、敷地後退をして歩道を整備しています。
●幹線道路まで直線的にアクセスできる道路はないので、系統連続性は普通と判断します。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。
地域危険度調査
東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「西蒲田1丁目」の地域危険度は“5”(※)であり、災害リスクが最悪レベルの地域です。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。
周辺環境他
●「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、西蒲田1丁目は24件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。
●小学校に近接しているので、騒がしく感じる可能性があります。
本マンションの総評
●表層地盤増幅率が高く、地形的には多摩川河口周辺に広がる低地に位置し、「液状化の可能性が高い地域」及び「沖積層の堆積エリア」に該当します。
●ボーリング調査も液状化リスクは明らかですが、軟弱地盤というほどではありません。
●吞川沿いかつ多摩川氾濫リスクのある場所に位置しており、想定を超える浸水被害があり得ます。
●中層RC造建物なので、損壊リスクは低いでしょう。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。
⇒多摩川河口周辺に広がる低地であり、「液状化の可能性が高い地域」及び沖積層エリアに該当し、表層地盤増幅率が悪く、周辺にあるボーリング調査の結果も良くないです。更に、浸水リスクが顕在であること、地域危険度が最悪レベルであること等を総合的に勘案し、防災力を“レベル3”とします。(5段階評価で5が最も安全)
≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。