【防災力:4】ウェルズパーク久が原

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 ウェルズパーク久が原

[所在地] 〒146-0085 東京都大田区久が原1丁目12−3

防災力 Level 4
地盤 []ボーリング調査が比較的良好
浸水 []敷地の一部が氾濫浸水区域に掛かっている
建物 []2004年竣工の中層RC造建物
火災 []系統連続性は普通
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約9m~13m、呑川流域の谷底低地に位置する傾斜地です。
傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
ただ、敷地は低い方の地面レベルに合わせており、切土地のような状況です。隣地や隣接道路との境界に擁壁があると思われますが、敷地が傾斜していることによる大きな地盤リスクはないものと判断します。(擁壁の管理コストが必要になるという経済的なマイナス面はありますが)
「液状化」「埋没谷」等の地盤ハザードエリアに該当しません。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.52”です。
都区内では比較的低い数値であり、地震時の揺れが小さく抑えられる可能性がある場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
周辺にある調査地点では、表層にはN値0の非常に柔らかい地層がありますが、支持層に深度6m~10mで到達するようです。
表層面は柔らかいですが、支持層が浅いので、マンション適地といえます。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

最大約1.3mの浸水可能性の指摘があります。
敷地の一部は、赤い線で表示される「呑川が氾濫した場合の浸水区域」に掛かっており、想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が拡大する可能性があります。
特に、氾濫浸水区域に掛かる敷地北側の部分に地下スロープがあるように見えるので、地下部分は水が溜まる可能性があります。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2004年1月竣工の中層RC造建物(地下1階地上7階建)です。
施工会社は、マンション建設を多く手掛ける「奥村組」です。
建物は、大きく階段状にセットバックしている形状ですが、中層RC造建物なので、損壊リスクは低いと判断します。

 接面道路

北西側(幅員約7.3m)、南西側(幅員約7.2m)の2本の区道に接面している角地です。北西側区道との接道部分では、敷地後退をして歩道を整備しています。
幹線道路まで直線的にアクセスできる道路はないので、系統連続性は普通と判断します。
接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「久が原1丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、久が原1丁目は11件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。
高校及び小学校に隣接しているので、騒がしく感じる可能性があります。

 本マンションの総評

谷底低地の傾斜地に位置します。
ボーリング調査は、マンション用地としては良好といえる結果です。
敷地の一部が氾濫浸水区域に掛かり、約1.3mの浸水可能性が指摘されています。
中層RC造建物なので、損壊リスクは低いでしょう。
接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

敷地に高低差がありますが、切土地のような状況なので、大きな傾斜地リスクはないと判断します。また、周辺のボーリング調査は比較的良好なので、地盤リスクは低いでしょう。敷地の一部が、呑川の氾濫浸水区域に掛かっており、約1.3mの浸水可能性が指摘されていることから、浸水リスクは顕在です。よって、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。