【防災力:4】東京メガシティ
「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。
物件名 東京メガシティ
[所在地] 〒115-0052 東京都北区赤羽北3丁目26−1他
防災力 | Level 4 |
地盤 | [3]液状化、ボーリング調査が良くない |
浸水 | [4]大きな浸水リスクなし |
建物 | [4]全体的にはシンプルかつどっしりとした形状が多い |
火災 | [5]接道状況及び系統連続性は良好 |
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら) |
標高・地形
●標高は、建物がある台地の部分が約21m~22mですが、擁壁の下部分(北西側接面道路)は約12mの場所もあります。
●対象地の北西側法面(傾斜地)の一部は「土砂災害警戒区域」及び「急傾斜地崩壊危険箇所」に指定されています。
●法面(傾斜地)の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。擁壁でしっかり押さえているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
●また、北西側接面道路との境界に高低差があるため擁壁を設置しており、擁壁も築年が古くなると補修が必要となります。修繕費用(保守管理費用)が必要というコスト面の問題だけでなく、メンテナンスしないと地盤リスクが高くなる土地ということもできます。
●東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では「液状化の可能性がある地域」に含まれています。
※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]
※ [土砂災害警戒区域等マップ(東京都)] → [土砂災害警戒区域]タブ
※ [土砂災害警戒区域等マップ(東京都)] → [土砂災害危険箇所]タブ
※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]
表層地盤増幅率
●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.3”です。エアリーコートA棟の一部(北西部)が、”1.32”及び”1.59”のメッシュに掛かります。
●”1.3”は、都区内で優良レベルであり、地震の際の揺れが小さくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。
※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]
【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)
近隣のボーリング調査
●敷地の北東部にある公開されたボーリング調査地点では、
▼表層はN値1の非常に柔らかい地層です。
▼深度約16mまでN値3以下の柔らかい地層が続きます。
▼その下も、固い地層と少し柔らかい地層が混在し、支持層に到達するのは深度33mほどとなるようです。
▼地下水位は、約1.5m~2mと浅いですが、砂質の地層は少ないので、当該地点付近での液状化の可能性は大きくないと推察します。
●周辺の調査地点での支持層の深さは、約27m~40mです。これらの地点には、液状化の兆候がみられます。
●表層面が柔らかく、支持層も深く、液状化の可能性も否定はできないので、地盤の良い場所ではありません。
●表層地盤増幅率が優良レベルである根拠は見出せませんでした。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。
浸水リスク
敷地の一部に約0.2mの浸水可能性が指摘されていますが、地形や標高から見て、敷地全体に大きな影響はないものと判断します。
※想定を超える大雨が降った場合には、内水氾濫の被害が拡大する可能性があります。
※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]
建物
●2004年7月竣工のSRC造地上20階建です。
●施工会社は、大手ゼネコンの「長谷工コーポレーション」です。
●概ねシンプルな形状やどっしりとした形状であり、建物自体の損壊リスクは低いでしょう。
接面道路
●南側(幅員約10.9m~11.5m)、西側(幅員約6m~6.3m)、東側(幅員約6m~8m)の3本の区道と接面している3方路地です。接道部分では、敷地後退をして歩道を整備しています。
●南側接面道路は、片側一車線及び歩道が整備され、北方の環八通りや西方の中山道(国道17号)へのアクセスは容易であり、系統連続性は良好です。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。
地域危険度調査
東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「赤羽北3丁目」の地域危険度は”1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。
周辺環境他
「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、赤羽北3丁目は36件となっており、治安は“5段階で3番目のレベル”です。
本マンションの総評
●敷地の西部から北西部にかけて、接面道路との境界部分に擁壁等が設置されていますが、敷地が広大なので、擁壁リスクの影響がありそうなのは「エアリーコートA棟」及び「コンフォートタワーC棟」に留まるでしょう。
●「液状化の可能性がある地域」に該当し、ボーリング調査も良くありません。
●浸水リスクは低いでしょう。
●概ねシンプルな形状やどっしりとした形状であり、建物自体の損壊リスクは低いでしょう。
●接面状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。
⇒いわゆる「崖上マンション」ではありますが、敷地が広大なので、崖の影響は一部に留まると判断します。ただ、敷地は、「液状化の可能性がある地域」に該当し、ボーリング調査も良くありませんので、地盤リスクは小さくないと推察します。その他のリスクは低いので、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)
≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。