【防災力:2】東京フロンティアシティアーバンフォート

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族のと”財産を守ることのできる不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 東京フロンティアシティアーバンフォート

[所在地] 〒116-0003 東京都荒川区南千住8丁目6−3他

防災力 Level 2
地盤 []液状化、地盤増幅率が非常に高い、軟弱地盤
浸水 []荒川等氾濫0.5m~3m未満
建物 []概ねシンプルな形状
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約2m~5m、隅田川沿いの自然堤防に位置します。
「自然堤防」は、洪水時に運ばれた砂等が、流路沿いに堆積してできた微高地です。
対象地の東方にあるスーパー堤防に掛かる部分の標高が少し高くなっていますが、敷地はほぼ平坦です。
東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では、A棟の一部が「液状化の可能性がある地域」に該当します。
対象地は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]


※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”2.22~2.23”です。
非常に高い数値であり、大地震時に震度7となる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

ボーリング調査

敷地内にある公開されたボーリング調査地点では、
深度21m過ぎまではN値0~3の柔らかい地層が続いています。
深度35m~36mほどまで、N値10以下の地層が続きます。
支持層の深さは37m~38mほどのようです。
地下水位の下に砂質の地層が存在するので、液状化の可能性は否定できません。
地中の深いところまで柔らかい地層が続き、液状化の可能性もある、いわゆる「軟弱地盤」です。

浸水リスク

荒川等の氾濫では、D棟の一部に3m~5m未満、それ以外の部分に0.5m~3m未満の浸水可能性が指摘されています。
対象地は、隅田川沿いに位置します。
昨今「想定外」の災害が毎年のように起きていることを想起しますと、ハザードマップの想定を超える事態はあり得ます。

【荒川等が氾濫した場合の浸水想定区域】

※重ねるハザードマップ (出典:「ハザードマップポータルサイト」)

 建物

2007年1月竣工のSRC造地上20階建です。
施工会社は、大手ゼネコンの「長谷工コーポレーション」です。
縦長の棟もありますが、概ねシンプルな形状なので、建物自体の損壊リスクは低いと判断します。

【参照】耐震等級“1”のマンションは震度7に耐えられない?

 接面道路

北側(幅員約20m~22m)、西側(幅員約18m)、東側(幅員約12m)の3本の区道に接面する3方路地です。
日光街道(国道)との接続は容易であり、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「南千住8丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、南千住8丁目は78件となっており、治安は“5段階で最悪レベル”です。

 本マンションの総評

「沖積層の堆積エリア」及び敷地の一部が「液状化の可能性がある地域」に該当する、隅田川沿いの自然堤防に位置します。
表層地盤増幅率は非常に高い数値です。
ボーリング調査でも、地中の深いところまで柔らかい地層が存在し、液状化の可能性もある、いわゆる「軟弱地盤」であることが把握されます。
荒川等の氾濫により、敷地の一部に3m~5m未満、敷地の大部分に0.5m~3m未満の浸水可能性が指摘されています。
建物自体の損壊リスクは低いと判断します。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

液状化及び沖積層エリアに該当し、表層地盤増幅率が非常に高い上に、ボーリング調査でも「軟弱地盤」といえる結果なので、地盤リスクは非常に大きいです。荒川等の氾濫リスクが指摘されているので、浸水リスクも大きいです。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル2”とします。 (5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。