【防災力:1】ザ・ガーデンズ西葛西

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 ザ・ガーデンズ西葛西

[所在地] 〒134-0088 東京都江戸川区西葛西2丁目22−5

防災力 Level 1
地盤 []液状化、地盤増幅率が最悪レベル、軟弱地盤
浸水 []高潮約9.7m、荒川等氾濫5m~10m未満
建物 []概ねシンプルな形状
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約-6m~-2mの「海抜ゼロメートル地帯」に位置します。
地形図では標高差がありますが、擁壁等の土地の高低差を示す建造物はみられないので、土地の高低差によるリスクは低いと判断します。
東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では、「液状化の可能性がある地域」に含まれています。
対象地は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]


※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]

 

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”2.29~2.3”です。
建物部分(建築面積部分)の過半は”2.3”のメッシュに含まれます。
全国的にも最悪レベルの数値であり、大地震時に震度7となる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
周辺にある調査地点では、
深度18m~21mほどまでN値0のズブズブの柔らかい地層が続いています。
深度30m過ぎまでN値5以下の地層が続き、深度40m過ぎまでN値10以下の地層が存在します。
支持層の深さは44mより深いようです。
地下水位の下に砂質の地層が広がっているので、液状化の可能性は高いです。
地中の深いところまで非常に柔らかい地層が続き、液状化の可能性も高い、いわゆる「軟弱地盤」です。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

高潮により最大約9.7mの浸水可能性が指摘されています。
雨水出水により最大約5mの浸水可能性が指摘されています。
荒川及び江戸川の氾濫では、5m~10m未満の浸水可能性が指摘されています。
また、江戸川区のハザードマップでは「流速が速く、木造家屋が倒壊するおそれがある区域」にも含まれています。
対象地は、「海抜ゼロメートル地帯」に位置します。昨今「想定外」の災害が毎年のように起きていることを想起しますと、ハザードマップの想定を超える事態もあり得ます。

【高潮ハザードマップ】

※ [東京都港湾局] → [高潮リスク検索サービス]

【雨水出水(内水氾濫)】

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

【江戸川区洪水ハザードマップ】

※ 荒川・江戸川等が氾濫した場合の浸水想定区域図

 建物

2016年1月竣工のRC造地上19階建です。
施工会社は、スーパーゼネコンの「大成建設」です。
概ねシンプルな形状なので、建物自体の損壊リスクは低いでしょう。

【参照】耐震等級“1”のマンションは震度7に耐えられない?

 接面道路

南東側都道(幅員約20m)、北東側区道(幅員約5m)、北西側区道(幅員約8m)の3本の道路に接面する3方路地です。
区道との接道部分では、敷地後退をして歩道等を整備しています。
都道と接面しているので、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「西葛西2丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、西葛西2丁目は44件となっており、治安は“5段階で4番目の悪いレベル”です。

 本マンションの総評

「海抜ゼロメートル地帯」に位置し、「液状化の可能性がある地域」及び「沖積層の堆積エリア」に該当します。
表層地盤増幅率が全国的にも最悪レベルの数値です。
ボーリング調査でも、地中の深いところまで柔らかい地層が存在し、液状化の可能性が高い、いわゆる「軟弱地盤」であることが把握できます。
高潮により約9.7m、荒川等の氾濫により5m~10m未満の浸水可能性が指摘されています。
建物自体の損壊リスクは低いです。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

液状化及び沖積層エリアに該当し、表層地盤増幅率が全国的にも最悪レベルな上に、ボーリング調査でも「軟弱地盤」といえる結果なので、地盤リスクは非常に大きいです。約9.7mもの高潮リスクが認められる上に、荒川・江戸川等の氾濫リスクも高いので、浸水リスクも非常に大きいです。よって、防災力を“レベル1”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。