【防災力:1】ザ・クレストリヴァシス
「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。
物件名 ザ・クレストリヴァシス
[所在地] 〒115-0051 東京都北区浮間3丁目5−15
防災力 | Level 1 |
地盤 | [2]液状化、ボーリング調査は良くない |
浸水 | [1]高潮約3m、荒川等氾濫10m未満の浸水可能性 |
建物 | [4]全体的にはどっしりとした形状 |
火災 | [5]接道状況及び系統連続性は良好 |
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら) |
標高・地形
●標高2m前後、川沿いの低地帯及び自然堤防に位置します。
●「自然堤防」は、洪水時に運ばれた砂等が、流路沿いに堆積してできた微高地です。
●東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では、「液状化の可能性が高い地域」に含まれています。
●対象地は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。
※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]
※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]
表層地盤増幅率
●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.64”です。
●都区内では標準的なレベルの数値であり、地震時の揺れが大きくなる可能性は低い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。
※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]
【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)
近隣のボーリング調査
●敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
●近隣にある調査地点では、
▼深度14m~16ほどまでN値0~1の非常に柔らかい地層が続いています。
▼深度21mほどまでN値10ほどの地層が存在するようです。
▼支持層の深さは23m~26mほどのようです。
▼地下水位の下に砂質の地層が存在しているので、液状化の可能性は否定できません。
●深度十数mまで柔らかい地層が続き、液状化の可能性も否定できないので、地盤の良い場所ではありません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。
浸水リスク
●高潮により最大約3mの浸水可能性が指摘されています。
●荒川の氾濫では、5m~10m未満の浸水可能性が指摘されています。
●新河岸川が氾濫した場合の浸水区域に含まれ、最大約3.3mの浸水可能性が指摘されています。
●対象地は、荒川と新河岸川に挟まれたエリアに位置します。昨今「想定外」の災害が毎年のように起きていることを想起しますと、ハザードマップの想定を超える事態はあり得ます。
【高潮ハザードマップ】
※ [東京都港湾局] → [高潮リスク検索サービス]
【北区洪水ハザードマップ】
※ 荒川が氾濫した場合の浸水想定区域図
【新河岸川が氾濫した場合の浸水区域】
※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]
建物
●2008年3月竣工のRC造地上15階建です。
●施工会社は、マンション建設に実績のある「ピーエス三菱」です。
●全体的にはどっしりとした形状なので、建物自体の損壊リスクは低いと判断します。
接面道路
●北西側(幅員約12.1m)、西側(幅員約6m)の2本の区道に接面する角地です。
●立地として、どこに向かうにも橋を経由する必要があるので、交通渋滞に巻き込まれる可能性は高いと思いますが、幹線道路との接続に支障となる幅員の狭い箇所はないので、系統連続性は良好と判断します。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。
地域危険度調査
東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「浮間3丁目」の地域危険度は“2”(※)であり、災害に比較的強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。
周辺環境他
●「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、浮間3丁目は30件となっており、治安は“5段階で3番目のレベル”です。
●立地として、どこに向かうにも橋を渡る必要があります。大地震や大水害で、橋が損傷するなど、橋の通行に支障が生じる事態となると、避難や救助が遅れる可能性があります。川に挟まれた立地としての災害リスクを考慮すべきと考えます。
本マンションの総評
●川沿いの低地帯及び自然堤防に位置し、「液状化の可能性が高い地域」及び「沖積層の堆積エリア」に該当します。
●ボーリング調査でも、少し深い部分まで柔らかい地層が存在し、液状化の可能性があることが把握できるなど、地盤の良い場所とはいえません。
●高潮により約3m、荒川の氾濫により5m~10m未満の浸水可能性が指摘されています。
●建物自体の損壊リスクは低いです。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。
●立地として、どこに向かうにも橋を渡る必要があります。大災害の際に、橋の通行に支障が生じると、災害リスクが高まります。
⇒「液状化の可能性が高い地域」及び沖積層エリアに該当し、ボーリング調査も良い結果ではないので、地盤リスクは大きいと判断します。高潮で約3m、荒川氾濫で5m~10m未満の浸水可能性が指摘されるなど、浸水リスクも顕著です。更に橋の通行に支障が生じると災害リスクが増加する立地であることを考慮し、防災力を“レベル1”とします。 (5段階評価で5が最も安全)
≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。