「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名　インペリアルガーデン

[所在地] 〒112-0011 東京都文京区千石２丁目１１−３

 標高・地形

●標高約23m～25mの、台地の端(一部、切土地)に位置します。
●敷地の南側が少し下がっていますが、全体に大きな影響を与えるほどの傾斜ではありません。
●東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では、敷地の一部が「液状化の可能性がある地域」に含まれています。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]

 表層地盤増幅率

●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.42～1.45”です。
●都区内で優良レベルであり、地震の際の揺れが小さくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供：防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

●敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
●周辺にある同地形(台地)の調査地点では、
▼深度8mほどまでN値3以下の柔らかい表層が続きます。N値0の地層も見られます。
▼深度15mほどで固い地層となりますが、深度25m～28mでN値10を切るなど、少し柔らかい地層も混在します。
▼支持層の深さは30mほどのようですが、深度38m過ぎに再度N値20の地層が表れます。
▼地下水位の下に、砂質の地層が広がっている地点もあるので、液状化の可能性は否定できません。
●表層面が柔らかく、支持層が深く、液状化の可能性も否定できないので、地盤の良い場所とはいえません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

●敷地のほぼ全域に浸水可能性が指摘され、最大約0.3mの浸水リスクがあるとされています。
●対象地は高台に位置し、川筋でもないのですが、僅かに窪地のような地形をしており、そのため、上記のような浸水可能性が指摘されることになったものと理解します。
●標高差は僅かとはいえ、窪地状の地形なので、予想外の大雨の際には、ハザードマップの想定を超える可能性も考えられます。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

●2015年1月に竣工した低層RC造建物(地下1階地上4階建)です。
●施工会社は、マンション建設を多く手掛ける「前田建設工業」です。
●低層RC造建物なので、大地震時の損壊リスクは低いです。

 接面道路

●北東側(幅員約6m～6.7m)、北西側(幅員約4m)、南東側(幅員約4m～5m)の3本の区道と接面している3方路地です。接道部分では、敷地後退をして歩道を整備しています。
●都道である千川通りや不忍通りは近いのですが、広い幅員を保ったまま接続する道路がないので、系統連続性は普通と判断します。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「千石2丁目」の地域危険度は“３”(※)であり、災害の際に多少リスクがある地域であるとされています。
※地域危険度は、５段階評価で１が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、千石2丁目は9件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。

 本マンションの総評

●表層地盤増幅率が優良レベルの台地(の端)に位置します。
●敷地の一部が「液状化の可能性がある地域」に含まれ、ボーリング調査も良くありません。
●敷地のほぼ全域に浸水可能性が指摘されているので、多少のリスクを感じます。
●低層RC造建物なので、建物損壊リスクは低いです。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

⇒敷地の一部が「液状化の可能性がある地域」に含まれ、ボーリング調査も良くないので、地盤リスクは無視できません。大きな被害には繋がらないと思いますが、敷地のほぼ全域に浸水可能性が指摘されていることから、浸水リスクも多少見込みます。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル４”とします。(５段階評価で５が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。