【防災力:3】プライム大田矢口

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 プライム大田矢口

[所在地] 〒146-0093 東京都大田区矢口2丁目1−20他

防災力 Level 3
地盤 []液状化、沖積層、表層地盤増幅率が悪い
浸水 []多摩川の氾濫リスク
建物 []2022年竣工の中層RC造建物
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高5m前後、多摩川河口周辺に広がる低地に位置します。
東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では「液状化の可能性が高い地域」に該当します。
対象地は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]


※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.72”です。
多摩川河口周辺に広がる低地エリアではましな数値ですが、標準的な数値よりも高く、地震時の揺れが大きくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
南側接面道路付近の調査地点では、
表層面はN値3以上あり、さほど問題はないようです。
ただ、深度17mほどまでN値10未満の地層が続きます。
支持層の深さは19mほどのようです。
地下水位の下に砂質の地層が存在するので、液状化リスクは顕在です。
表層面に問題はないようですが、深度17mほどまでN値10未満の地層が続き、液状化リスクが顕在なので、地盤が良いとはいえない場所です。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

大田区が公開している多摩川ハザードマップ(最大浸水深)では、「0.5m~3.0m未満」のリスクがある場所とされています。
多摩川の氾濫による浸水は、昨今「想定外」の災害が毎年のように起きていることを想起しますと、ハザードマップの想定を超える事態はあり得ます。

※ [大田区防災ハザードマップ] → [多摩川ハザードマップ(最大浸水深)]

 建物

2022年1月竣工の中層RC造建物(地上8階建)です。
施工会社は、大手ゼネコンの「長谷工コーポレーション」です。
中層RC造建物なので、損壊リスクは低いでしょう。

 接面道路

南側区道(幅員約8.2m)、W棟とE棟の間を通る私道の2本の道路に接面する2方路地(角地)です。接道部分では、敷地後退をして歩道を整備しています。
第二京浜(国道1号)との接続は容易であり、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「矢口2丁目」の地域危険度は“2”(※)であり、災害に比較的強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、矢口2丁目は33件となっており、治安は“5段階で3番目のレベル”です。

 本マンションの総評

地形的には多摩川河口周辺に広がる低地に位置し、「液状化の可能性が高い地域」及び「沖積層の堆積エリア」に該当します。
表層地盤増幅率が悪く、ボーリング調査も良くない場所です。
多摩川の氾濫では0.5m~3.0m未満の浸水可能性が指摘されています。
中層RC造建物なので、損壊リスクは低いでしょう。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

多摩川河口周辺に広がる低地であり、「液状化の可能性が高い地域」及び沖積層エリアに該当し、表層地盤増幅率も悪く、ボーリング調査結果も良くないので、地盤リスクを無視できません。浸水リスクも顕在なので、防災力を“レベル3”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。