「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名　パークコート二子玉川

[所在地] 〒158-0094 東京都世田谷区玉川４丁目３９−１他

 標高・地形

●標高約13m～16m、丸子川河岸かつ、多摩川・野川流域の谷底低地に位置しています。
●対象地は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。
●敷地の一部は、12万年前～16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか？

 表層地盤増幅率

●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.3～1.34”です。
●都区内で優良レベルであり、地震時の揺れが小さくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6″以下です。

※ [J-SHIS Map(提供：防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

●敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
●北西方にある調査地点：
▼深度2m過ぎにはN値3以上の地層となっています。
▼ただ、深度10mを超えても支持層へは到達せず、N値も10未満のままです。
▼深度10mまでしか表記がないので支持層の深さが把握できません。
●南東方にある調査地点：
▼深度4mほどにN値1の非常に柔らかい地層があります。
▼深度8mほどで支持層に到達するようです。
●南東方の地点は、マンション用地として悪くない場所です。北西方の地点も、軟弱地盤というレベルではないので、大きな地盤リスクはないと思われます。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

●最大約1.8mの浸水可能性の指摘があります。
●多摩川・野川の流域かつ丸子川沿いなので、想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が拡大する可能性があります。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

●2003年8月竣工の低層RC造建物(地上5階建)です。
●施工会社は、準大手ゼネコンの「東急建設」です。
●低層RC造建物なので、損壊リスクは低いです。

 接面道路

●北西側(幅員約6.3m～7.5m)、北東側(幅員約6.1m～8.1m)、南西側(幅員約7.7m～7.9m)、南東側(幅員約4m～5.3m)の4本の区道に接道する4方路地です。接道部分は、敷地後退をして歩道を整備しています。
●幹線道路までのアクセスにおいて障害となるような箇所はないですが、広い幅員を保ったまま直線的に接続できる道路もないので、系統連続性は普通と判断します。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「玉川4丁目」の地域危険度は“１”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、５段階評価で１が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、玉川4丁目は10件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。

 本マンションの総評

●沖積層エリアで、敷地の一部が埋没谷の範囲に該当します。
●表層地盤増幅率が優良レベルで、周辺のボーリング調査も比較的良好な結果です。
●多摩川・野川の流域かつ丸子川の河岸に位置し、約1.8mの浸水可能性の指摘があります。
●低層RC造建物なので、建物損壊リスクは低いです。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

⇒表層地盤増幅率が優良レベルで、周辺のボーリング調査も比較的良好なので、地盤リスクは低いと判断します。ただ、多摩川・野川の流域かつ丸子川河岸に位置し、約1.8mの浸水可能性の指摘があるので、浸水リスクは顕在です。よって、防災力を“レベル４”とします。(５段階評価で５が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。