【防災力:2】ミッドガーデンシティ
「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。
物件名 ミッドガーデンシティ
[所在地] 〒116-0003 東京都荒川区南千住6丁目41−10他
防災力 | Level 2 |
地盤 | [1]液状化、地盤増幅率が最悪レベル、軟弱地盤 |
浸水 | [2]荒川等氾濫0.5m~3m未満 |
建物 | [4]概ねシンプルな形状 |
火災 | [5]接道状況及び系統連続性は良好 |
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら) |
標高・地形
●標高2m前後、隅田川に近接する低地帯に位置します。
●東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では、[ザ・テラス]は「液状化の可能性がある地域」、[ザ・タワー&ヴィラ]は「液状化の可能性が高い地域」に該当します。
●対象地は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。
※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]
※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]
表層地盤増幅率
●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”2.29~2.33”です。
●全国的にも最悪レベルの数値であり、大地震時に震度7となる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。
※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]
【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)
近隣のボーリング調査
●敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
●周辺にある調査地点では、
▼深度20m~24mほどまではN値0~3の柔らかい地層が続いています。
▼深度26m~27mほどまで、N値10以下の地層が続きます。
▼支持層の深さは29mほどのようです。
▼地下水位の下に砂質の地層が存在する地点が多いので、液状化の可能性は否定できません。
●地中の深いところまで柔らかい地層が続き、液状化の可能性もある、いわゆる「軟弱地盤」です。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。
浸水リスク
●荒川等の氾濫では、敷地の一部に3m~5m未満、敷地の大部分に0.5m~3m未満の浸水可能性が指摘されています。
●対象地の標高は、隅田川の河岸とほとんど差がありません。
●昨今「想定外」の災害が毎年のように起きていることを想起しますと、ハザードマップの想定を超える事態はあり得ます。
【荒川等が氾濫した場合の浸水想定区域】
※重ねるハザードマップ (出典:「ハザードマップポータルサイト」)
建物
[ザ・テラス]2010年3月竣工、RC造地下1階地上14階建
[ザ・タワー&ヴィラ]2011年1月竣工、SRC造地上20階建
●施工会社は、大手ゼネコンの「長谷工コーポレーション」及び「森組」の共同企業体です。
●タワー棟は少々縦長ですが、他の棟と同様、概ねシンプルな形状なので、建物自体の損壊リスクは低いと判断します。
接面道路
●幅員約14.5mの区道等、充分な広さがある区道に接面しており、接道状況は良好です。
●日光街道(国道)との接続は容易であり、系統連続性は良好です。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。
地域危険度調査
東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「南千住6丁目」の地域危険度は“3”(※)であり、災害リスクが多少残る地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。
周辺環境他
「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、南千住6丁目は39件となっており、治安は“5段階で3番目のレベル”です。
本マンションの総評
●「液状化の可能性が高い地域」及び「沖積層の堆積エリア」に該当する、隅田川に近接する低地帯に位置します。
●表層地盤増幅率は全国的にも最悪レベルの高い数値です。
●ボーリング調査でも、地中の深いところまで柔らかい地層が存在し、液状化の可能性もある、いわゆる「軟弱地盤」であることが把握されます。
●荒川等の氾濫により、敷地の一部に3m~5m未満、敷地の大部分に0.5m~3m未満の浸水可能性が指摘されています。
●建物自体の損壊リスクは低いと判断します。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。
⇒「液状化の可能性が高い地域」及び沖積層エリアに該当し、表層地盤増幅率が全国的にみても最悪レベルな上に、ボーリング調査でも「軟弱地盤」といえる結果なので、地盤リスクは非常に大きいです。荒川等の氾濫リスクが指摘されているので、浸水リスクも大きいです。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル2”とします。 (5段階評価で5が最も安全)
≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。