【防災力:4】マスタービューレジデンス

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族のと”財産を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 マスタービューレジデンス

[所在地] 〒154-0001 東京都世田谷区池尻4丁目8−1

防災力 Level 4
地盤 []崖上マンション、土砂災害特別警戒区域、埋没谷
浸水 []大きな浸水リスクなし
建物 []全体としてはどっしりとした形状
火災 []接道状況及び系統連続性は概ね良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高は、建物がある台地・切土地の部分が約28m~32mですが、擁壁の下部分(谷地)は約19mの場所もあります。 対象地の南側法面(傾斜地)部分は「土砂災害特別警戒区域」及び「土砂災害警戒区域」に指定されています。
法面(傾斜地)の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。擁壁でしっかり押さえているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
また、南側接面道路との境界に高低差があるため擁壁を設置しており、擁壁も築年が古くなると補修が必要となります。修繕費用(保守管理費用)が必要というコスト面の問題だけでなく、メンテナンスしないと地盤リスクが高くなる土地ということもできます。
更に、敷地の一部は、12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。
※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]


※ [土砂災害警戒区域等マップ(東京都)] → [土砂災害警戒区域]タブ

【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか?

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.58”です。
都区内の武蔵野台地エリアでは標準的な数値であり、地震時の揺れが大きくなる可能性は低い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと、地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に、公開されたボーリング調査地点はありません。
東側接面道路付近にある調査地点では、
表層はN値3以上あるようです。
一旦固い地層となった後、深度約11m~17mにN値10以下の地層が連続しており、埋没谷の存在が見て取れます。
支持層に到達するのは、深度20m超となるようです。
表層面に問題はなさそうですが、埋没谷の存在が見て取れるので、地盤の良い場所ではありません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、対象地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

目黒川緑道とほとんど標高差のない南側擁壁の下付近に最大2.3mほどの浸水可能性が指摘されています
建物が建つ崖上の部分には浸水可能性の指摘はありません。
よって、全体としての浸水リスクは低いと判断します。
※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2008年1月竣工のRC造地下1階地上15階建です。
施工会社は、分譲も手掛けたスーパーゼネコンの「鹿島建設」です。
全体としてはどっしりとした形状の建物であり、損壊リスクは低いでしょう。

 接面道路

東側(幅員約7m~11m)、北側(幅員約6m)、南側(幅員約6m~7m)の3本の区道と接面している3方路地です。
北方の淡島通りへのアクセスに支障となるような箇所はなく、系統連続性は普通と判断します。
接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「池尻4丁目」の地域危険度は”2”(※)であり、災害に比較的強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、池尻4丁目は22件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。

 本マンションの総評

いわゆる「崖上マンション」に該当します。法面の部分は「土砂災害警戒区域等」に指定されいます。
埋没谷の範囲に該当し、ボーリング調査でも、その存在が見て取れます。
浸水リスクは低いでしょう。
ほぼ横長形状のRC造建物なので、建物自体の損壊リスクは低いでしょう。
接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いです。

いわゆる「崖上マンション」であり、その崖部分が「土砂災害警戒区域等」に指定されている上に、埋没谷の影響が把握できる立地なので、地盤リスクはそれなりに大きいと考えます。その他のリスクは低いので、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)

【参照記事】
「崖上マンション」が安くなくてはいけない理由 | 一般社団法人 不動産分析センター (property-analysis.org)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。