【防災力:2】グランフラッツ北千住
「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。
物件名 グランフラッツ北千住
[所在地] 〒120-0034 東京都足立区千住2丁目50−1
防災力 | Level 2 |
地盤 | [2]沖積層、地盤増幅率が高い、ボーリング調査が悪い |
浸水 | [1]荒川氾濫リスク3m~5m未満 |
建物 | [4]大きな損壊リスクなし |
火災 | [4]系統連続性は普通 |
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら) |
標高・地形
●標高約1m~2m、自然堤防に位置します。
●「自然堤防」は、洪水時に運ばれた砂等が、流路沿いに堆積してできた微高地です。
●対象地は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。
※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]
表層地盤増幅率
●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.88~1.9”です。
●かなり高い数値であり、大地震時に震度7となる可能性がある場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。
※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]
【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)
近隣のボーリング調査
●敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
●北方で隣接する調査地点では、
▼深度11mほどまではN値30以上ある地層が広がり、浅い部分の地盤の固さに問題はありません。
▼ただ、深度13m~15mほどに、N値0の非常に柔らかい地層が挟まります。
▼深度30mを超えても、マンション用地としては柔らかいN値20未満の地層が存在するようです。
●周辺の同地形(自然堤防)にある調査地点では、支持層の深さは約49m~50mであるようです。
●地下水位の下に砂質の地層がある地点もあるので、液状化の懸念がないとはいえません。
●地中の深いところまで柔らかい地層が存在し、支持層も非常に深いので、地盤リスクの大きな場所です。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。
浸水リスク
●荒川の氾濫では、3m~5m未満の浸水可能性が指摘されています。
●荒川の氾濫による浸水は、東西の低地エリアでは5m以上が想定されています。
●対象地は「自然堤防」に位置し、東西の低地エリアと比較すると1m~2m標高が高いことで、1段階低い浸水深の指摘となっています。
●ただ、1m~2m標高が高いことは、大規模氾濫の際には、さほど意味を持たないと考えます。
●昨今「想定外」の災害が毎年のように起きていることを想起しますと、ハザードマップの想定を超える事態はあり得ます。
【荒川が氾濫した場合の浸水想定区域】
※重ねるハザードマップ (出典:「ハザードマップポータルサイト」)
建物
●1998年10月竣工のSRC造地上14階建です。
●施工会社は、準大手ゼネコンの「間組(現:安藤・間)」です。
●3棟がエキスパンションジョイントで接合されたような形状です。それぞれの棟は、少し縦長で複雑な形をしていますが、損壊リスクが大きくなるほどではないと判断します。
●ただ、建物が少し古くなってきているので、修繕等のメンテナンスがきちんと行われているかのチェックは必須です。
接面道路
●東側(幅員約6m)、西側(幅員約7.3m)の2本の区道に接面する2方路地です。接道部分では、敷地後退をして歩道等を整備しています。
●西方にある日光街道(国道)との接続に支障となる箇所はないものの、接面道路は一方通行路であるため系統連続性は普通と判断します。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。
地域危険度調査
東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「千住2丁目」の地域危険度は“4”(※)であり、災害リスクが大きい地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。
周辺環境他
「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、千住2丁目は120件となっており、治安は“5段階で最悪レベル”です。
本マンションの総評
●「自然堤防」に位置し、「沖積層の堆積エリア」に該当します。
●表層地盤増幅率はかなり高い数値です。
●ボーリング調査でも、地中の深いところまで柔らかい地層が存在し、支持層も非常に深いので、地盤リスクの大きな場所です。
●荒川氾濫により3m~5m未満等の浸水可能性が指摘されています。
●建物自体の損壊リスクは大きくないと判断します。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。
⇒沖積層エリアに該当し、表層地盤増幅率がかなり高く、ボーリング調査も悪いので、地盤リスクは大きいです。荒川の氾濫で3m~5m未満の浸水可能性が指摘されており、浸水リスクも非常に大きいです。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル2”とします。 (5段階評価で5が最も安全)
≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。