【防災力:4】ダイナシティ文京根津
「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。
物件名 ダイナシティ文京根津
[所在地] 〒113-0031 東京都文京区根津2丁目14−9
防災力 | Level 4 |
地盤 | [3]沖積層、ボーリング調査がいま一つ |
浸水 | [3]暗渠である藍染川流域 |
建物 | [3]かなり複雑な形状 |
火災 | [5]接道状況及び系統連続性は良好 |
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら) |
標高・地形
●標高約5m~6m、現在は暗渠となっている藍染川流域の谷底低地に位置しています。
●対象地は最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。
※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]
表層地盤増幅率
●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.64”です。
●都区内の武蔵野台地エリアでは標準的な数値であり、地震時の揺れが大きくなる可能性は低い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。
※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]
【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)
近隣のボーリング調査
●敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
●周辺にある複数の同地形(谷底低地)の調査地点では、
▼表層はN値0~1と非常に柔らかいです。
▼ただ、北方や西方の地点では、深度6mほどでN値10を超えています。
▼支持層の深さは約25m~26mになるようです。
●表層面が柔らかく、支持層が深いので、地盤の良い場所とはいえません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。
浸水リスク
●東西の台地に挟まれた、暗渠となっている藍染川流域の谷底低地に位置しますが、敷地の一部に0.2mほどの浸水可能性が指摘されているにとどまります。
●地形が「谷底低地」であるということは、昔から川が流れていた場所であるということです。
●想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が拡大する可能性がある立地です。
※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]
建物
●2004年11月竣工のSRC造地上10階建です。
●施工会社は、当時中堅ゼネコンクラスであった「勝村建設」です。勝村建設は、2005年9月及び2008年11月に民事再生法の適用を申請し、現在は存在しない会社です。
●勝村建設は、暴力団と組んで談合を他の会社に強要するなどして経営破綻に至った会社であり、その破綻の前年度に本件マンションが竣工というタイミングなので、施工に関しても多少の疑念を持ってしまいます。
●建物は、かなり複雑な形をしています。全体的にはどっしりとした形状なので、大きな損壊リスクはないと思いますが、シンプルな形状の建物と比較したら、多少の損傷リスクは認めざるを得ません。
接面道路
●北西側都道(幅員約11.2m)と接面している中間画地です。
●都道と接面しているので系統連続性は良好です。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。
地域危険度調査
東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「根津2丁目」の地域危険度は“4”(※)であり、災害リスクが大きい地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。
周辺環境他
「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、根津2丁目は9件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。
本マンションの総評
●表層地盤増幅率が標準的な谷底低地に位置します。
●沖積層の堆積エリアに該当し、周辺のボーリング調査も良いとはいえません。
●浸水リスクは顕在ですが、大きな被害にはならないでしょう。
●かなり複雑な形状の建物なので、多少の損傷リスクを認めます。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。
⇒沖積層の堆積エリアに該当し、周辺のボーリング調査も良くはないので、地盤リスクをある程度認めます。暗渠となっている藍染川流域の谷底低地に位置することから、浸水リスクもないとはいえません。建物の形状がかなり複雑なことから、損傷リスクも多少計上します。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)
≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。