【防災力:3】ディートリア

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族のと”財産を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 ディートリア

[所在地] 〒146-0083 東京都大田区千鳥3丁目16他

防災力 Level 3
地盤 []液状化、沖積層
浸水 []多摩川氾濫リスク
建物 []どっしりとした形状の建物
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約5m~6m、多摩川河口周辺に広がる低地及び砂州に位置します。
東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では「液状化の可能性がある地域」に敷地が含まれています。
対象地は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]


※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.76~1.82”です。
都区内の武蔵野台地エリアでは高い数値であり、地震時の揺れが大きくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

アイリットスクエア棟の敷地内にある公開されたボーリング調査地点では、深度3mほどでN値が10を超え、深度7mほどでN値が4まで落ち込むものの、13mほどで支持層に足る固さの地層に到達します。
周辺にある調査地点を見ると、深度12m過ぎまで柔らかい地層がある場所もありますが、支持層の深さは15m~20mほどのようです。
周辺の地点では、地下水位の下に砂質の地層が存在する地点が多く、液状化の可能性を否定できません。
表層面のN値や支持層の深さは、さほど悪いものではありませんが、液状化リスクは否定できません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、対象地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

雨水出水:敷地の一部に0.5mほどの浸水可能性が指摘されています。
多摩川氾濫:敷地全体に0.5m~3m未満の浸水可能性が指摘されています。
特に多摩川の氾濫による浸水は、地形や標高を考慮した上で、昨今「想定外」の災害が毎年のように起きていることを想起しますと、ハザードマップの想定を超える事態はあり得ます。

【雨水出水】

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

【多摩川洪水ハザードマップ】

※ [大田区防災ハザードマップ] → [多摩川ハザードマップ(最大浸水深)]

 建物

ソレイユハウス:RC造地下1階地上9階建
フォレストハウス:RC造地下1階地上9階建
アイリットスクエア:RC造地下1階地上10階建
2000年10月竣工で、施工会社は、スーパーゼネコンの「大林組」です。
各棟、どっしりとした形状であり、建物損壊リスクは低いと判断します。

【参照】耐震等級“1”のマンションは震度7に耐えられない?

 接面道路

周囲を幅員8m超の区道に囲まれており、接道状況は良好です。
環八通りへのアクセスは容易なので、系統連続性も良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「千鳥3丁目」の地域危険度は“2”(※)であり、災害に比較的強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、千鳥3丁目は15件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。
「アイリットスクエア」及び「ソレイユハウス」は小学校と近接しているので、騒がしく感じる可能性があります。

 本マンションの総評

地形的には多摩川河口周辺に広がる低地及び砂州に位置し、「液状化の可能性がある地域」及び「沖積層の堆積エリア」に該当します。
表層地盤増幅率が高く、ボーリング調査もあまり良くない場所です。
多摩川の氾濫では最大0.5m~3m未満の浸水可能性が指摘されています。
全体的にどっしりとした形状の形状なので、建物自体の損壊リスクは低いと判断します。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

多摩川河口周辺に広がる低地であり、「液状化の可能性がある地域」及び沖積層エリアに該当し、表層地盤増幅率及びボーリング調査もあまり良くない結果なので、地盤リスクがある場所です。浸水リスクも顕在なので、防災力を“レベル3”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。