【防災力:4】シティテラス下目黒

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることができる不動産なのか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 シティテラス下目黒

 

1.大地震が発生しても安全か

地震に強いとはいえない

対地震 Level  3/5 (リスク有)
地盤ハザード [3/5]「埋没谷」に該当
地盤増幅率 [1/5]やや高い
ボーリング [2/5]良くない
建物 [5/5]2012年竣工の低層RC造建物
【対地震の評価】
地盤
「埋没谷」の範囲に該当し、ボーリング調査でも、埋没谷の影響とみられる柔らかい地層が深度十数mに連続することが把握できるので、相応の地盤リスクがあると考えます。
建物
2012年竣工の低層RC造建物なので、損壊リスクは低いです。
〔対地震総評〕
埋没谷の影響がみられる地盤なので、低層RC造建物ではありますが、地盤の良い場所にある物件と比較すると、地震時に建物が損傷するリスクはあるでしょう。

[所在地] 〒153-0064 東京都目黒区下目黒6丁目5−21

標高・地形

標高 23mほど
地形 台地


※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

地盤ハザード(災害危険)エリア

液状化 該当なし
沖積層 該当なし
埋没谷 範囲に該当
急傾斜等 該当なし

12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。

【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか?

表層地盤増幅率

表層地盤増幅率 1.68

標準よりやや高い数値であり、地震時の揺れが大きくなる可能性がある場所です。
※地盤増幅率が“1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”未満です。


※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
南西方にある調査地点では、
表層からN値5以上ありますが、深度7m~8mほどにN値0~2の柔らかい地層が挟まります。
深度10mほどでN値50を超える地層となりますが、深度13m~17mほどに埋没谷の影響とみられるN値3ほどの柔らかい地層が存在します。
支持層の深さは19m余りであるようです。
北西方にある調査地点では、埋没谷の影響は見られず、支持層の深さも13mほどのようです。
評価が割れた場合には保守的に判断することとし、南西方の地点を重視します。
深度十数mに柔らかい地層が連続するので、地盤リスクがないとはいえません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、対象地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

建物

築年 2012年12月竣工
構造 RC造地下1階地上3階建
施工会社 東海興業
その他

施工会社の東海興業は、1997年と2013年に2度倒産した会社です。本件建物の建設時は、2度目の倒産(民事再生法の申請)に至る、資金繰りに窮していた時期に当たると思われます。ただ、分譲時のデベロッパー「住友不動産」の監理の元で建物は無事に竣工しているので、本件建物の建設に問題はなかったと考えます。
低層RC造建物なので、建物の損壊リスクは低いです。

2.1000年に一度の大水害が発生しても安全か

対水害 Level  4/5 (大きな浸水リスクなし)
標高 23mほど
地形 台地
浸水深 [内水氾濫等]約0.5m
【対水害の評価】
標高・地形
標高23mほどの台地に位置します。
浸水深
最大約0.5mの浸水可能性が指摘されています。
〔対水害総評〕
指摘は、地下駐車場の入口付近を反映したものであると推察され、敷地全体に大きな影響はないものと考えます。
ただ、対象地の標高は周辺と比較して低くなっており、想定を超える大雨が降った場合には、地下部分を中心に内水氾濫の被害が拡大する可能性があります。


※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]


※国土地理院地図の「色別標高図」でみると、対象地は、谷地となっており、また南方の川筋と距離的にも近いことから、想定を超える大雨が降った際には、浸水被害が拡大する可能性があります。

3.その他の災害リスク

その他 Level  5/5 (特段の災害リスクなし)
接道状況 良好(4方路地)
系統連続性 良好
地域危険度 災害に強い地域
その他

接面道路

周囲を幅員約6m~7mの区道に囲まれた4方路地です。
北方の目黒通りとの接続は容易であり、系統連続性は良好と判断します。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「下目黒6丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。


※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2024年累計」を見ると、下目黒6丁目は10件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。
南西側に小学校が隣接しており、騒がしく感じる可能性があります。

4.本マンションの総合評価

総合 Level  4/5
[対地震] Level  3/5 (リスク有)
[対水害] Level  4/5 (大きな浸水リスクなし)
[その他] Level  5/5 (特段の災害リスクなし)

地震リスク
埋没谷の影響がみられる地盤なので、低層RC造建物ではありますが、地盤の良い場所にある物件と比較すると、地震時に建物が損傷するリスクはあるでしょう。
水害リスク
標高・地形等からみて、敷地全体に大きな浸水リスクはないと判断します。
その他リスク
特段の災害リスクなし

⇒これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル4”とします。
(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。

評価時点》2025年9月