【防災力:4】ブリリア巣鴨
「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。
物件名 ブリリア巣鴨
[所在地] 〒170-0002 東京都豊島区巣鴨3丁目5−19
防災力 | Level 4 |
地盤 | [3]埋没谷エリアのような地層が見られる |
浸水 | [3]約0.8mの浸水可能性の指摘 |
建物 | [4]全体的にはどっしりとした形状 |
火災 | [4]系統連続性は普通 |
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら) |
標高・地形
●標高約25m~26mの台地に位置しています。
●「液状化」「埋没谷」等の地盤ハザードエリアに該当しません。
※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]
表層地盤増幅率
●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.61”です。
●都区内の武蔵野台地エリアでは標準的な数値であり、地震時の揺れが大きくなる可能性は低い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。
※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]
【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)
近隣のボーリング調査
●敷地内にある公開されたボーリング調査地点では、
▼表層面は、N値3~4と武蔵野台地エリアとしては問題のない地盤の固さがあるようです。
▼一旦N値20を超えた後、深度約14m~22mにN値4~7の柔らかい地層が続いています。
▼この深い部分に柔らかい地層が続くのは、埋没谷エリアで見られる特徴です。対象地は、埋没谷エリアには該当しませんが、地中深くに柔らかい地層が連続して存在しているというのは、あまりいい兆候ではありません。
▼当該調査地点の柱状図は深度25mまでの表記しかなく、支持層の深さは把握できません。
●近隣の複数の調査地点では、深度約22m~23mで支持層に到達するようです。
●本件マンションの公式ホームページに「地下約23m~33mに支持層」と読める表記があります。
●表層面は問題がなさそうですが、埋没谷エリアに似た地層が見られ、支持層も深いので、マンション用地として、あまり良い場所ではありません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。
【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか? (対象地は埋没谷の範囲には該当しませんが、参考まで)
浸水リスク
●最大約0.8mの浸水可能性が指摘されています。内水氾濫の指摘としては大きな数値です。
●東京都下水道局が公開している下水道台帳からは、指摘箇所で水が溢れる理由は見出せません。
●指摘箇所は、周辺の土地と比較してわずかに谷状・窪地状であり、これにより浸水可能性が指摘されているのだと理解します。
●周辺の土地と比較して、谷状・窪地状となっている場所は、大雨が降った場合、想定外の浸水被害が生じる可能性があるので注意が必要です。
※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]
建物
●2010年 1月竣工のSRC造地下1階地上14階建です。
●施工会社は、中堅ゼネコンの「淺沼組」です。
●建物は、上から見ると少々複雑な形をしていますが、全体的には横長でどっしりとした形状なので、損壊リスクは低いと判断します。
接面道路
●北東側区道(幅員約5.7m~7.2m)、南西側区道(幅員約3.6m~4.4m)、北西側私道の3本の道路と接面する3方路地です。接道部分では、敷地後退を少しして歩道状のものを整備しています。
●幹線道路まで直線的にアクセスできる道路はないので、系統連続性は普通と判断します。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。
地域危険度調査
東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「巣鴨3丁目」の地域危険度は“2”(※) であり、災害に比較的強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。
周辺環境他
●「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、巣鴨3丁目は34件となっており、治安は“5段階で3番目のレベル”です。
●高校やゴルフ練習場が近接しているので、騒がしく感じる可能性があります。
本マンションの総評
●表層地盤増幅率が標準的なレベルの台地に位置します。
●埋没谷エリアのような地層も見られ、ボーリング調査はあまり良い結果ではありません。
●約0.8mの浸水可能性の指摘があります。
●全体的には横長でどっしりとした形状の建物なので、損壊リスクは低いと判断します。
●接道状況及び系統連続性に大きな問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。
⇒ボーリング調査で「埋没谷エリア」のような地層があるのが把握され、その部分のN値が4~7と柔らかいことから、多少の地盤リスクを認めます。内水氾濫も、約0.8mの浸水深と深く、浸水リスクも無視できません。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)
≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。