【防災力:2】アトラスタワー小石川

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることができる不動産なのか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 アトラスタワー小石川


1.大地震が発生しても安全か

地震に強いとはいえない

対地震 Level  3/5 (リスク有)
地盤ハザード [3/5]「沖積層」に該当
地盤増幅率 [0/5]かなり高い
ボーリング [3/5]良くもないが悪くもない
建物 [2/5]タワー形状の高層建物
【対地震の評価】
地盤
表層地盤増幅率は良好ですが、ボーリング調査では、良いと言い切れる結果ではないので、地盤リスクがないとはいえません。
建物
少し複雑な形状のタワー形状の高層建物なので、相応の災害リスクがあると判断します。
〔対地震総評〕
地盤が良いとはいえない場所に建つ、少し複雑な形状のタワーマンションなので、地震時に被害が生じる可能性は否定できません。

[所在地] 〒112-0002 東京都文京区小石川1丁目9−14

標高・地形

標高 6mほど
地形 谷底低地

昭和初期に埋められた小石川の流域にあたります。


※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

地盤ハザード(災害危険)エリア

液状化 該当なし
沖積層 堆積エリアに該当
埋没谷 該当なし
急傾斜等 該当なし

最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。

表層地盤増幅率

表層地盤増幅率 1.93

かなり高い数値であり、大地震時に震度7となる可能性がある場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。


※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
南側接面道路付近にある調査地点では、
深度6m過ぎにN値10前後の地層となり、深度11m過ぎにN値50超となります。
ただ、深度14m過ぎにN値20ほどの地層となり、深度22mほどまで、N値20以下の少し柔らかい地層が大部分を占めます。
深度25mほどで再度N値50超となりますが、柱状図の表記が25mまでなので、この地層が支持層かどうかは不明です。
周辺でも、地中深くまでN値20未満の地層が続く地点が多いです。
深度20m過ぎまでマンション用地としては柔らかい地層が続くので、地盤が良いとはいえませんが、表層以外ではN値10未満の地層もないので、地震時に揺れを増幅するようなリスクも低いでしょう。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

建物

築年 2003年11月竣工
構造 RC造地下2階地上28階建
施工会社 戸田建設
その他

建物は、少し複雑な形状のタワーマンションです。
タワー形状の高層建物は、防災面からは良い点がありません。万が一、施工不良があった場合には即大きな建物損壊リスクに繋がりますし、発災後にエレベーターが動かなくなると、高層階の住民は難儀するでしょう。防犯面等のメリットはありますが、本サイトは”防災”の観点からの評価になりますので、タワー形状の高層建物というだけでマイナス評価とします。

【参照】タワーマンションを防災面では評価しない理由(より詳細に)

2.1000年に一度の大水害が発生しても安全か

対水害 Level  2/5 (浸水リスク大)
標高 6mほど
立地 谷底低地
浸水深 [内水氾濫等]約1.8m
【対水害の評価】
標高・立地
標高6mほど、昭和初期に埋められた小石川の流域にある谷底低地に位置します。
谷底低地は、昔、川が流れることで形成された地形なので、大雨の際は水が集まる傾向があります。
浸水深
最大約1.8mの浸水可能性の指摘があります。
〔対水害総評〕
暗渠である小石川流域に位置し、約1.8mの浸水可能性が指摘されているので、浸水リスクは大きいです。
想定を超える大雨が降った場合には、内水氾濫が拡大する可能性のある立地です。


※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

3.その他の災害リスク

その他 Level  5/5 (特段の災害リスクなし)
接道状況 良好(接面道路幅員約40m)
系統連続性 良好
地域危険度 比較的安全
その他

接面道路

東側都道(幅員約40m)、西側都道(幅員約18m)、南側区道(幅員約18.2m)の3本の道路と接面している3方路地です。
白山通り(都道)と接面しているので、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「小石川1丁目」の地域危険度は“2”(※)であり、災害に比較的強い地域であるとされています。


※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2024年累計」を見ると、小石川1丁目は22件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。
白山通り沿いであることから、気管支や肺に病気を持つお子さんがいるファミリーにはお勧めできません。

【参照】幹線道路沿いの物件を勧めない理由

4.本マンションの総合評価

総合 Level  2/5
[対地震] Level  3/5 (リスク有)
[対水害] Level  2/5 (浸水リスク大)
[その他] Level  5/5 (特段の災害リスクなし)

地震リスク
地盤が良いとはいえない場所に建つ、少し複雑な形状のタワーマンションなので、地震時に被害が生じる可能性は否定できません。
水害リスク
暗渠である小石川流域に位置し、約1.8mの浸水可能性が指摘されているので、浸水リスクは大きいです。
その他リスク
特段の災害リスクなし

⇒これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル2”とします。
(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。

評価時点》2025年12月