【防災力:4】プラウド恵比寿ヒルサイドガーデン

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 プラウド恵比寿ヒルサイドガーデン

[所在地] 〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南3丁目11−25

防災力 Level 4
地盤 []埋没谷、傾斜地
浸水 []大きな浸水リスクなし
建物 []全体的にはどっしりとした形状
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約22m~27mの緩やかな傾斜地(地形的には、台地から続く切土地)に位置します。
傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。また、地震時の揺れが複雑になるという調査もあります。コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
また、東側接面道路及び北側接面道路との境界に高低差があるため擁壁を設置しており、擁壁も築年が古くなると補修が必要となります。修繕費用(保守管理費用)が必要というコスト面の問題だけでなく、メンテナンスしないと地盤リスクが高くなる土地ということもできます。
対象地は、12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか?

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.37”です。
都区内で優良レベルであり、地震時の揺れが小さくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
周辺にある調査地点では、
深度20m近くまでN値10以下の柔らかい地層が続いています。
柱状図に支持層までの表記がなく、支持層の深さは把握できません。
深度約27mでN値50超となる地点がありますが、29mまでしか表記がないので、この地層が支持層となるか否かは判断できません。
地下水位の下に、砂質の地層が広がっている地点があるので、液状化の可能性もあります。
深度20m近くまで柔らかい地層が続き、支持層も深く、液状化の可能性もあるので、地盤の良い場所ではありません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、対象地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

敷地の周縁部に約0.2mの浸水可能性の指摘がありますが、標高や地形からみて、全体に大きな影響を与えることはないものと判断します。
※想定を超える大雨が降った場合には、内水氾濫が拡大する可能性があります。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2020年1月竣工のRC造地下2階地上11階建です。
施工会社は、中堅ゼネコンの「鴻池組」です。
建物は、少々複雑な形をしていますが、全体的にはどっしりとした形状のRC造建物なので、大きな建物損壊リスクはないものと判断します。

 接面道路

東側(幅員約8.9m~10.1m)、北側(幅員約7.4m~7.9m)の2本の区道に接面する角地です。
駒沢通り(都道)へのアクセスは容易であり、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「恵比寿南3丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に対して強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、恵比寿南3丁目は7件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。

 本マンションの総評

表層地盤増幅率は優良レベルですが、埋没谷の範囲に該当する傾斜地です。
ボーリング調査は良い結果ではありません。
大きな浸水リスクはないでしょう。
全体的にはどっしりとした形状の建物なので、大きな建物損壊リスクはないと判断します。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

周辺のボーリング調査では、柔らかい地層が地中深いところまで続き、液状化の可能性も感じられる結果なので、地盤リスクを無視できません。更に敷地が位置するのが傾斜地であることのリスクも付加されます。その他のリスクは低いので、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。