【防災力:3】東京サーハウス

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 東京サーハウス

[所在地] 〒146-0092 東京都大田区下丸子2丁目13

防災力 Level 3
地盤 []液状化、ボーリング調査は良くない
浸水 []高潮等
建物 []概ねシンプルな形状
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高4m~9m、多摩川河岸に整備されたスーパー堤防の上に位置します。
敷地に高低差があり、擁壁を築造しています。擁壁も築年が古くなると補修が必要となります。修繕費用(保守管理費用)が必要というコスト面の問題だけでなく、メンテナンスしないと地盤リスクが高くなる土地ということもできます。
東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では「液状化の可能性が高い地域」に該当します。
対象地は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]


※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.58”です。
標準的な数値であり、地震時の揺れが大きくなる可能性は低い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内にある調査地点では、
深度5mでN値30以上あり、表層は固いようです。
ただ、深度9m~16mにN値1~3の柔らかい地層があります。
支持層の深さは17mほどのようです。
地下水位の下に砂質の地層が存在するので、液状化の可能性は否定できません。
深度16m過ぎまで柔らかい地層が続き、液状化の可能性もあるので、良い地盤とはいえません。

浸水リスク

高潮により最大約1.3mの浸水可能性が指摘されています。
雨水出水リスクとして最大約1mの浸水可能性が指摘されています。
大田区が公開している多摩川ハザードマップ(最大浸水深)では、敷地の一部に「0.5m未満」の浸水リスクが指摘されています。
高潮や多摩川の氾濫による浸水は、昨今「想定外」の災害が毎年のように起きていることを想起しますと、ハザードマップの想定を超える事態はあり得ます。

【高潮ハザードマップ】

※ [東京都港湾局] → [高潮リスク検索サービス]

【雨水出水ハザードマップ】

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

【多摩川洪水ハザードマップ】

※ [大田区防災ハザードマップ] → [多摩川ハザードマップ(最大浸水深)]

 建物

2003年8月竣工のRC造地上15階建です。
施工会社は、大手ゼネコンの「長谷工コーポレーション」及びスーパーゼネコンの「大成建設」の共同企業体です。
概ねシンプルな形状なので、建物自体の損壊リスクは低いでしょう。

【参照】耐震等級“1”のマンションは震度7に耐えられない?

 接面道路

北西側(幅員約8.3m~14.5m)、北東側(幅員約8m~8.5m)、南東側(幅員約10.7m)、南西側(幅員約9.8m~10.8m)の4本の区道に接面する4方路地です。
都道との接続は容易であり、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「下丸子2丁目」の地域危険度は“2”(※)であり、災害に比較的強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、下丸子2丁目は12件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。

 本マンションの総評

地形的には多摩川河岸に整備されたスーパー堤防の上に位置し、「液状化の可能性が高い地域」及び「沖積層の堆積エリア」に該当します。
ボーリング調査でも液状化の可能性があることが把握されるなど、あまり良くない結果です。
高潮等により最大約1.3mの浸水可能性が指摘されています。
概ねシンプルな形状なので、建物自体の損壊リスクは低いでしょう。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

「液状化の可能性が高い地域」及び沖積層エリアに該当し、ボーリング調査もあまり良くないので、地盤リスクを無視できません。多摩川沿いの立地で、高潮で約1.3mの浸水可能性が指摘されるなど、浸水リスクも顕在です。よって、防災力を“レベル3”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。