物件名　ザ・パークハウス愛宕虎ノ門

１．大地震が発生しても安全か

[所在地] 〒105-0001 東京都港区虎ノ門３丁目１９−１５

標高・地形

●対象地は、高低差約10mの傾斜地です。
●傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。
●コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、傾斜地は、地震時の揺れが複雑になることもあるようなので、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
●ただ、対象地は、一番低いレベルに切土しているようなので、大きな傾斜地リスクはないと考えます。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

地盤ハザード(災害危険)エリア

●対象地の一部(北西側接面道路沿い)は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。
●隣地法面が「土砂災害警戒区域」および「土砂災害特別警戒区域」に指定されています。対象地に崖崩れのリスクがないようにはみえないですが、対象地東側の法面は指定から外れているので、大きな崖崩れリスクはないとします。(が、ゼロだとは思えないので、注意してください)

※ [土砂災害警戒区域等マップ(東京都)] → [土砂災害警戒区域]タブ

表層地盤増幅率

●良好な(低い)数値であり、地震時の揺れが小さく抑えられる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供：防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

ボーリング調査

●敷地内にある公開されたボーリング調査地点では、
▼深度6m過ぎにN値10、深度10m弱でN値20を超えます。
▼柱状図に深度10mほどまでしか表記がありません。
▼地下水位の下に砂質の地層が広がっているので、液状化の可能性が認められます。
●周辺にある調査地点では、
▼深度11m～12mでN値20を超え、それ以降、固い地層と柔らかい地層が混在しますが、N値10以下の地層は挟まりません。
▼支持層には、深度29mを超えても到達しないようです。
●深度10m以深にN値10以下の地層はないので、地震時に揺れを大きくするようなリスクはないと考えますが、深度20m過ぎにもN値12などの地層が挟まることや液状化の可能性が否定できないことを考慮すると、良い地盤ともいえません。

建物

●東側の一角が少しズレたような形ですが、全体的にはシンプルな形状であり、建物自体の損壊リスクは低いと判断します。

２．1000年に一度の大水害が発生しても安全か

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

３．その他の災害リスク

接面道路

●北西側(幅員約8m)に接面する中間画地です。
●桜田通り(国道1号線)とは近いですが、前面道路は一方通行路なので、系統連続性は普通とします。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

地域危険度調査

●東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「虎ノ門3丁目」の地域危険度は”１”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。

※地域危険度は、５段階評価で１が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

●「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、虎ノ門3丁目は10件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。

４．本マンションの総合評価

【地震リスク】
深刻なレベルの傾斜地リスクや地盤リスクはないと推察される場所です。そこに建つ、全体的にシンプルな形状の建物なので、地震の際に大きな被害が生じる可能性は低いと判断します。
【水害リスク】
愛宕山下の低地に位置しますが、浸水可能性の指摘がないので、大きな浸水リスクはないと判断します。
【その他リスク】
大きなリスクを感じるような要素なし

⇒これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル４”とします。
(５段階評価で５が最も安全)

《評価時点》2025年10月