【防災力:3】リージェントハウス大森西

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 リージェントハウス大森西

[所在地] 〒145-0066 東京都大田区大森西4丁目15−8

防災力 Level 3
地盤 []液状化、沖積層、ボーリング調査が悪い
浸水 []雨水出水、多摩川の氾濫、高潮
建物 []2009年竣工の中層RC造建物
火災 []統連続性は普通
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高3m前後、多摩川河口周辺に広がる低地に位置します。
東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では「液状化の可能性がある地域」に敷地の東側が含まれています。
対象地は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]


※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.52~1.6”です。
多摩川河口周辺に広がる低地エリアとしては良い数値であり、地震時の揺れが大きくなる可能性は低い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
周辺にある調査地点では、深度20mを過ぎてもN値10未満の柔らかい地層が続く地点が多く、支持層の深さは29mほどのようです。
地下水位の下に砂質の地層が続く地点もあり、液状化の可能性を否定できません。
深い部分まで柔らかい地層が続き、支持層も深く、液状化の可能性もあるので、地盤の良い場所ではありません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

対象地は、「川が氾濫した場合の浸水区域」内に位置し、雨水出水で最大約0.6mの浸水可能性が指摘されています。
大田区が公開している多摩川ハザードマップ(最大浸水深)では、「0.5m~3.0m未満」のリスクがある場所とされています。
また、高潮により最大0.5mの浸水可能性が指摘されています。
川の氾濫による浸水も、多摩川の氾濫による浸水も、高潮による浸水も、昨今「想定外」の災害が毎年のように起きていることを想起しますと、ハザードマップの想定を超える事態はあり得ます。

【雨水出水】

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

【多摩川洪水ハザードマップ】

※ [大田区防災ハザードマップ] → [多摩川ハザードマップ(最大浸水深)]

【高潮ハザードマップ】

※ [東京都港湾局] → [高潮リスク検索サービス]

 建物

2009年2月竣工の中層RC造建物(地上9階建)です。
施工会社は、大手ゼネコンの「長谷工コーポレーション」です。
中層RC造建物なので、損壊リスクは低いでしょう。

【参照】耐震等級“1”のマンションは震度7に耐えられない?

 接面道路

北側(幅員約7.2m~8.7m)、東側(幅員約8m)、南側(幅員約5.1m)、西側(幅員約9.5m)の4本の区道に接面する4方路地です。
周囲の道路は一方通行路が多いので、系統連続性は普通と判断します。
接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「大森西4丁目」の地域危険度は“3”(※)であり、災害リスクが多少残る地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、大森西4丁目は13件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。

 本マンションの総評

「液状化の可能性がある地域」及び「沖積層の堆積エリア」に該当する、多摩川河口周辺に広がる低地に位置します。
ボーリング調査も、良い結果ではありません。
雨水出水、多摩川の氾濫、高潮による浸水可能性が指摘されています。
中層RC造建物なので、損壊リスクは低いでしょう。
接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いです。

多摩川河口周辺に広がる低地で、「液状化の可能性がある地域」及び「沖積層エリア」に該当し、ボーリング調査も良い結果ではありませんので、地盤リスクを無視できません。雨水出水、多摩川の氾濫、高潮による浸水可能性が指摘されているので、浸水リスクも顕在です。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル3”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。